照ノ富士親方、豊昇龍と熱い抱擁「自分に負けない、ウソをつかない力士は、強くならなくてもいい人間になるのでは」

 トークショーに登場した豊昇龍に花束を贈られ、抱擁を交わす元横綱の照ノ富士親方
 トークショーに登場した豊昇龍に花束を贈られる元横綱の照ノ富士親方
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 大相撲の第57回「NHK福祉大相撲」が8日、東京・両国国技館で開催された。横綱豊昇龍(立浪)が照ノ富士親方(元横綱)に花束を届けるサプライズがあった。

 トークショーに照ノ富士親方が登場。両ヒザの故障、糖尿病に苦しみ、大関から序二段へ転落した当時を「ケガしても自信はあった。筋肉を付ければできると思った。ケガは痛いだけだけど、病気は頑張ってもどうにもならない」と述懐。「病気が治ってから筋肉もついて数字も戻ってきた」と続けた。膝は現在も痛み止めを服用しているというが、糖尿病は筋肉がつかず、より深刻だったようだ。

 元大関として史上初めて序二段で相撲を取ることに葛藤したが「周囲は思うほど気にしていない」という助言で翻意。「ネットで(悪口を)書く人も、深くは考えていない。自分をちょっと責めすぎていた」と振り返った。

 序二段から横綱に駆け上り、優勝10回を達成。復帰から1年半の期間で「筋トレを休んだのは20日くらい」と、自身を追い込み続けた。会食などがあった際は、深夜1時からトレーニングしたこともあった。

 横綱昇進時の口上では「不動心」を掲げた。「昔は喜んだり落ち込んだこともあったけれど、感動も喜びもない冷静さがあった。これが『不動心』かと思った」と語った。「土俵では何が起こるか分からない。いつ辞めてもいい。悔いはない」という心境で土俵に立ち続けた。

 一人横綱として初場所まで君臨。優勝10回を目標に掲げた理由を「目標を立てないとやってられなかった」と話し「横綱になるまではひたすら強くなりたかった。横綱になったら、勝つためよりも国技を守りたい、(単なる)スポーツではないという考えで、ひたすら自分を追い込んだ」と振り返った。

 今年初場所で引退。豊昇龍と琴桜が綱とりで、豊昇龍は悲願を成就させた。「次の横綱ができるまで頑張ろうと思った。やれることはやったから」という願いは届いた。

 現在は連日のように伊勢ケ浜部屋の稽古に顔を出し、厳しい指導を続けている。「あまり(現役中と)変わらないですね」と穏やかに語った照ノ富士親方。「人に教えるのは難しい。自分に負けない、ウソをつかない力士は、強くならなくてもいい人間になるのでは」と信念を語った。

 トークショーの最後には、サプライズで登場した豊昇龍から花束を贈られ、熱く抱擁した。「先場所の千秋楽、(本割、ともえ戦の)3番の相撲は素晴らしかった。私も久しぶりにワクワクした。これからもお客さんをワクワクさせる相撲を取ってくれるんじゃないかな」と期待を寄せていた。

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