37歳織田信成が涙腺崩壊「幸せだった」万感現役ラスト舞で国スポ4位 確かな足跡残した2度目の現役生活、30代後半からの異例の挑戦に幕 涙止まらず
「国民スポーツ大会・フィギュアスケート」(29日、ヘルスピア倉敷アイスアリーナ)
成年男子の部フリーでは、今季限りで2度目の引退を表明しているSP2位の織田信成(37)=大阪スケート俱楽部=が現役最後の演技を行った。フリー128・85点、合計206・45点の4位で終えた。13年の一度目の現役引退から9年後の22年に現役復帰。30代後半からの異例の挑戦が幕を閉じた。
フリーでは「Angels」を演技し、2度目の現役生活に終止符を打った。最後から2番目の滑走順で演技した37歳の大ベテラン。前日のSPでは首位の佐藤駿に24点以上の差をつけられており、逆転優勝は難しい状況だったが、笑顔でリンク中央に登場すると、冒頭の4回転トーループは転倒したものの、その後はしっかりとジャンプを決めていき、壮大な世界観を表現。精いっぱい氷上を舞った。演技を終えると跪きながら片手を挙げてのフィニッシュの後は氷上に別れを告げるように手を付き、歓声に応えるとリンクサイドからキスアンドクライに向かう途中にはもう涙腺が崩壊。嗚咽をもらしながら得点発表されると、納得したようにうなずいた。母の憲子コーチを隣で目元を拭った。
取材で織田は「今季で1番悪い」と苦笑いしつつ「ラストがこれっていうのが自分らしい」とうなずいた。演技にいく前に母が泣いていたことを明かし「もらい泣きして高ぶってしまった」と笑った。そして「幸せだったし、感謝してます」と、振り返った。
織田は着氷の柔らかいジャンプと卓越した表現力を武器に、ジュニア時代から頭角を現し、高橋大輔とともに日本男子をけん引。戦国武将、織田信長の末えいとしても注目を集めた。08年には全日本選手権を制し、国際大会でも活躍。10年バンクーバー五輪代表にも出場。ソチ五輪代表入りを逃した13年全日本選手権後に一度現役を引退。その後、解説やタレントとして活動したが、22年秋に現役復帰。昨年末の全日本選手権では現在の日本のトップ選手らの中に入り、4位入賞を果たしていた。
全日本終了後では「フィギュアは金銭的にも厳しくて、僕が現役復帰していなかったら、子供にもっとおもちゃを買ってあげられたかも」と家族のサポートに感謝。「あと20歳若返りたいが、でも今回は潔く引退します」と話していた。
22年11月の現役復帰から2年あまり、4回転ジャンプにも挑み、年齢を重ねた表現力で若手をひっぱる存在となり続けた。今後はプロスケーターとして、3男1女、4児の父は頑張り続ける。




