北磻磨 史上初10度目十両へ決意星!震災知る38歳、復興した兵庫のように返り咲く 故郷へ「力士としての生き様見てほしい」
「大相撲初場所・5日目」(16日、両国国技館)
30年前の阪神・淡路大震災を知る西幕下24枚目の北磻磨(38)=山響=が、不屈の闘志で土俵に立っている。この日は天道山(藤島)を突き落とし2勝1敗とした。史上初となる10度目の十両昇進を誓う。幕内では横綱照ノ富士が3場所連続となる休場。綱とりの大関豊昇龍は熱海富士の小手投げに屈し初黒星、大関琴桜は正代に寄り倒され4連敗となった。大関大の里を破った王鵬、玉鷲、千代翔馬、金峰山が無敗を維持する。
震災の記憶を持つベテランが、懸命な相撲を取り続けている。38歳の北磻磨が幕下で2勝1敗とし、白星を先行させた。天道山に土俵際に押し込まれながら、左に動いて突き落とした。
西幕下24枚目。勝ち越せばご当地の春場所(3月9日初日、エディオンアリーナ大阪)で、十両が狙える幕下15枚目以内に番付を上げる可能性がある。「次に上がったら10回目。切りがいいので目指したい」と誓う。
軽量ながら押し相撲を軸に素軽さを生かして戦ってきた。新十両は2012年初場所で、その後は何度も幕下に落ちながら関取復帰を果たした。昨年春場所では3年半ぶりに返り咲き、希善龍の通算9度の十両昇進最多記録に並んだ。節目の10回で記録更新を目指す。
稀勢の里、豪栄道、栃煌山、妙義龍、勢ら1986年(昭和61年)生まれは「花のロクイチ組」と角界で一大勢力を誇ったが、今では現役の幕内力士は宝富士のみ。
震災を体験した力士も少なくなった。1995年1月17日。当時8歳だった北磻磨は兵庫県龍野市(現たつの市)で、家族6人一緒に同じ部屋で寝ていた。「部屋にタンスがあったので、父親が『タンスから離れろ!』と叫んだこと。テレビで神戸の街が大変なことになっていたことは覚えています」と記憶を語った。
復興を進めた兵庫とも重なる一生懸命な姿。師匠の山響親方(元幕内巌雄)は「自分の体と向き合って、考えながら一日一日を過ごしている」と弟子を評した。北磻磨は故郷に向け「力士としての生き様を見てほしい」とキッパリ。ひたむきに関取復帰を目指す。
◆北磻磨聖也(きたはりま・せいや) 本名・嶋田聖也。1986年7月28日生まれ。兵庫県龍野市(現たつの市)出身。龍野西中学を卒業し、北の湖部屋に入門。2012年初場所で新十両。16年名古屋場所で新入幕。最高位は東前頭15枚目。身長181センチ、体重132キロ。独身。





