バスケ女子 なぜ日本は五輪切符を取れたのか ハンガリー戦の悪夢→カナダ戦の歓喜 中1日の舞台裏を選手が明かす

 バスケットボール女子日本代表は、五輪世界五輪予選(11日閉幕)を2勝1敗で突破し、3大会連続6度目となる24年パリ五輪切符を獲得した。

 決して楽な道のりではなく、2戦目のハンガリー戦ではインサイドで優位に立たれて、逆転負け。赤穂ひまわり(デンソー)が「高さにひるんで、スイッチディフェンスに足が止まった」と話したように、日本のチームコンセプト「走り勝つシューター軍団」を封じられた黒星だった。精神的ダメージが大きい敗戦から、アカツキジャパンは、どのように立ち上がったのか。13日の帰国会見で、それぞれの選手が明かした。

 敗れた直後は意気消沈。宮崎早織(エネオス)は自身のエアボールを嘆き、ムード-メーカーの馬瓜エブリンでさえ「生きた心地がしなかった」と語った。その日の食事会場。口を開いたのは本橋菜子(東京羽田ヴィッキーズ)だった。チームへの自分の思い、敗戦から得た改善点などを仲間に伝えた。プレー時間がなかった選手がチームを思い、動く。その姿を見て恩塚亨監督は「チームとして戦う機運が失われていない。(カナダ戦は)やってくれる」と、奥底に燃える闘志を感じたという。

 そこから中1日、コーチ陣は10時間を超えるスカウティングを行い、カナダを再分析。守備のローテーションをさらに明確化した。一方の選手は自分たちだけのミーティングを実施。宮崎は馬瓜エに「お前の“吠え”が必要だ。ハンガリー戦では足りなかった。カナダ戦では(シュートが)入らなくても吠えて」と、ムードメーカにゲキを飛ばした。「部屋の外にまで笑い声が聞こえてきました」(指揮官)。アカツキジャパンに笑顔が戻り、士気が次第に高まっていった。

 迎えたカナダ戦。日本が負ければハンガリーの五輪出場が決まるだけに、ショプロン会場はカナダのホームと錯覚するような空気に包まれた。ただアカツキジャパンは誰一人ひるまない。覚悟は決まっていた。

 試合では序盤から積極的な守備を継続し、カナダをリズムに乗せないことに成功。宮崎の司令塔としての活躍、山本麻衣(トヨタ自動車)のビッグプレー、馬瓜エの長距離砲も飛び出し、4点差の大接戦を勝ち切った。

 どの大会でも東京五輪銀メダルチームとして見られる重圧。五輪切符を失う可能性すらあったカナダ戦。のしかかったプレッシャーは計りしれない。今夏の大一番までは残り5カ月。逆境をはねのけたアカツキジャパンの強さは、パリの地でも発揮されるに違いない。

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