五輪女王の川井友香子 68キロ級転向も2位で涙「ずっと逃げたかった」パリ五輪絶望的、挑戦には達成感
「レスリング・明治杯全日本選抜選手権」(16日、東京体育館)
世界選手権(9月、ベオグラード)代表選考会を兼ねて行われた。女子68キロ級決勝は、東京五輪62キロ級金メダリストで階級を上げて挑戦した川井友香子(25)=サントリーが、65キロ級世界女王の森川美和(23)=ALSOK=に0-3で敗れて2位。24年パリ五輪は絶望的な状況となり、涙しつつも「やり切れたかな」と納得の表情で語った。
急きょ階級を変えて臨んだ新天地で、優勝こそ逃したものの五輪女王の底力を発揮した。増量はせず体重63キロで臨んだが、15日の1次リーグでは森川を破るなど3連勝で首位突破。準決勝は72キロ級全日本覇者の古市雅子(自衛隊)に勝利し、決勝は森川との再戦で敗れたものの、どこかすがすがしい表情で「(東京)五輪が終わってからずっと逃げたくて、レスリングを辞めてどこかに行ってしまいたいと思っていたが、それを振り返ればよくここまで来た」と苦境を告白しつつ、「今回は結果よりもやり切ることがテーマだったので達成できたかな」とうなずいた。
21年東京五輪で姉・梨紗子と姉妹金メダルに輝いたが、以降は腰痛にも苦しんで優勝からは遠ざかっていた。パリ五輪の代表選考が始まった昨年12月の全日本選手権でも5位に沈み、「辞めた方が楽。引退しようかな」と家族に相談したところ、母初江さんから「これが最後(の試合)だと思ってなかったから、最後に(試合を)見たい」と背中を押され、階級も変えて心機一転、前を向いたという。
五輪連覇の道は限りなく厳しいものとなったものの、今大会を通じて自身の新たな適性も見いだした。「思ったよりもこの階級で戦えたので、(現役を)辞めてこの手応えをなくすのはもったいない。それも含めて、周りと一緒に考えたい」と現役続行を示唆。まずは、結婚・出産を経て3大会連続五輪を目指す姉の金城梨紗子(28)が17日から始まる57キロ級に出場するだけに「姉が納得いくようにサポートしたい」と語った。





