照ノ富士 8度目Vに王手 朝乃山ぶん投げた!休場明け問題なし「あと2日頑張りたい」

 「大相撲夏場所・13日目」(26日、両国国技館)

 横綱照ノ富士が平幕朝乃山を小手投げで下し、1敗を守った。関脇霧馬山は北青鵬を退けて2敗をキープ。優勝の可能性は照ノ富士、霧馬山、3敗の朝乃山の3人に絞られ、単独トップの照ノ富士は14日目の霧馬山との直接対決に勝てば、6場所ぶり8度目の優勝が決まる。大関貴景勝は明生を送り出して勝ち越しを決め、かど番を脱出した。

 これぞ横綱相撲だった。照ノ富士が強さを見せつけた。朝乃山に右差しを許さず、左を差されても全く動じない。少し下がりながら体を開くと、右小手投げで元大関を豪快にぶん投げた。優勝を左右する大一番で示した格の違い。ため息にも似た声が館内に響いた。

 両膝に不安を抱える中での単独先頭。前日の取組後には足を気にするしぐさを見せていたが、問題なかった。「(立ち合いは)しっくりこなかったけど、落ち着いてやれたかな。勝てたことはよかった」。普段通りに淡々と振り返った。

 朝乃山との対戦は21年春場所以来。以前はよく稽古相手に指名し、今場所前の春巡業ではアドバイスを送っていた。久々の出稽古でも肌を合わせ、あえて左上手を取らせるなど実力を確認。過去の対戦は5戦全勝だったが「そういう意識はない。土俵に上がったら何が起こるかわからないから」と一分の隙もなく勝負に臨んでいた。

 14日目の霧馬山戦に勝てば、昨年夏場所以来の優勝が決定する。王手をかけた横綱に、幕内後半戦の浅香山審判長(元大関魁皇)は「しっかり力強い相撲を取れている。余裕もある。当たって圧力があるから残れる」と回復ぶりを認めた。

 連続4場所以上の休場明けで賜杯を抱いた横綱は白鵬、大鵬、柏戸、北勝海の4人。連続3場所以上全休明けでは大鵬と北勝海の2人だけだ。「復帰に向けて、その日その日でベストを尽くしてきた。ここまでは悪くないんじゃないかな。とりあえずあと2日間、しっかり頑張りたい」と照ノ富士。綱の責任を果たす優勝で、力強く復活を遂げる。

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