元大関の栃ノ心が引退 ジョージアから角界入りして17年 誇れるものは「稽古」

 笑顔で引退を発表する栃ノ心
 八角理事長(左)から賜杯を受け取る栃ノ心=18年1月
 大相撲初場所で松鳳山(右)を攻める栃ノ心。寄り切りで破り初優勝を決めた
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 日本相撲協会は19日、元大関で東十両5枚目の栃ノ心(35)=ジョージア出身、春日野=の現役引退を発表した。初場所で脱臼した左肩が回復せず、今場所は初日から5連敗を喫していた。両国国技館で会見した栃ノ心は、度重なるケガを克服して大関となった力士人生に胸を張った。

 自慢の怪力で土俵を沸かせた栃ノ心が力士人生に別れを告げた。初場所で脱臼した左肩は限界で、まわしをとっても力が入らない状態。5連敗を喫した18日夜と19日の朝に師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)と話し合い、引退を決めた。「残念だけど力も出ない。相撲を取るのが怖くなった。ファンのみなさんにこういう相撲を見せるのが申し訳ない」と理由を説明した。

 何度も苦難を乗り越えた。三役昇進後、13年名古屋場所で負った右膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大ケガで幕下に転落。それでも「ケガがあったからこそ、その後も頑張った。相撲に対する考え方も変わった」と振り返った。師匠の「あと10年、相撲を取らなきゃいけないよ」との言葉に奮起し、18年初場所で初優勝、同名古屋場所で大関昇進の復活。約束通りに大ケガから10年、現役を務めた。誇れるものを問われ「稽古じゃないですかね」と胸を張った。

 言葉もわからぬままジョージアから角界入りして17年。「何とか頑張ったと思う。日本に来て相撲をやれて感謝しています。大関に上がったことはよかった。一つ夢を果たせた」と感慨をにじませた。一番の思い出には、18年初場所で初優勝を決めた松鳳山との取組を挙げた。

 日本国籍を取得しておらず、相撲協会には残らない。母国からの応援について問われると「本当に感謝の気持ちしかない」と涙ぐんだ。今後は未定ながら「日本には大勢知り合いもいる。ジョージアと行ったり来たりできれば」と希望を語った栃ノ心。「これからもきれいな心を持って生きていきます」と、しこ名に恥じない第二の人生に思いをはせた。

 ◆栃ノ心剛史(とちのしん・つよし、本名レヴァニ・ゴルガゼ)1987年10月13日生まれ。ジョージア・ムツヘタ出身。2006年春場所で初土俵。08年初場所で新十両昇進。同年夏場所で新入幕。18年初場所で幕内初優勝。同年名古屋場所で大関昇進。19年夏場所での大関陥落は1場所で復帰も、同九州場所で再び陥落。幕内通算80場所で大関在位は7場所。優勝1回、殊勲賞2回、敢闘賞6回、技能賞3回、金星2個。通算成績は681勝615敗106休。得意は右四つ、寄り、上手投げ。家族はニノ夫人と1女。192センチ、176キロ。

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