入門当時の栃ノ心を支えた〝味〟 臥牙丸と食べた「ピノ」が出発点だった
日本相撲協会は19日、元大関で東十両5枚目の栃ノ心(35)=春日野=が引退届を提出して受理されたと発表した。17歳でジョージアから来日。異国の地で過ごした力士生活の“原点”を担当記者が明かした。
◇ ◇
栃ノ心のしこ名は日本の「心」を持ってほしいとの思いを師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)が込めた。右膝に激痛を抱えても巡業で泣き言一つ口にせず誰より稽古していた。強くて優しい心を持ったサムライだった。
17歳で来日した際、ジョージア語の辞書もなかった。孤独を支え合ったのが同郷の兄貴分で木瀬部屋に所属し、2020年に引退した元小結臥牙丸。異国で不安な日々、部屋同士の中間地点にあるコンビニで毎日、会った。
2人でなけなしの小銭を持ち寄ってアイスクリームを買い、コンビニ裏の公園で食べた。大男2人が小粒の「ピノ」をほおばり、相撲や日本文化、故郷のことを語り合った。そのアイスの味を出発点に、ジャパニーズドリームをつかんできた。
大関昇進後、故郷に大豪邸を建設。柔道場、トレーニング施設、屋外プールに加え、サウナ、レストラン、バーまである。巡業中は「プールサイドで寝そべってお酒を飲むんだ。最高だろ!!」とうれしそうに話していた。17年戦い抜き、やっとその願いはかなう。(2017~21年、デイリースポーツ大相撲担当・荒木 司)



