りくりゅう W快挙!日本勢初優勝&年間グランドスラム 三浦転倒も木原「まさか達成できるとは」

 金メダルを手に笑顔を見せる三浦、木原ペア
 ペアのフリーで演技する三浦(上)と木原(撮影・堀内翔)
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 「フィギュアスケート・世界選手権」(23日、さいたまスーパーアリーナ)

 ペアフリーが行われ、ショートプログラム(SP)首位で前回大会銀メダルの“りくりゅう”こと三浦璃来(21)、木原龍一(31)組(木下グループ)がフリーで自己ベストの141・44点、合計で今季世界最高の222・16点で日本ペアとして初優勝を果たした。同一年度で主要国際大会を全て制す“年間グランドスラム”も達成した。男子SPは日本勢初の連覇を目指す宇野昌磨(25)=トヨタ自動車=が今季世界最高の104・63点で首位発進した。

 不安げに点数を待っていた三浦が一瞬、大きく目を見開いた。視線の先には今季世界最高の合計222・16点。隣に座っていた木原も大きくのけぞって驚いた。“りくりゅう”は涙してブルーノ・マルコットコーチと3人で抱き合い、祝福の拍手に包まれた。

 日本開催で最終滑走。会場のボルテージは最高潮に達していた。優勝への期待感が高まる空気の中、スロー3回転ループで三浦が転倒。観客からは悲鳴にも近い声が漏れた。演技直後に三浦はぼうぜんとしたが、木原に「観客席を見てご覧。祈るしかないけど胸を張って今は帰ろう」と慰められ、気丈にリンクから上がった。

 だが結果は日本勢初優勝と“年間グランドスラム”のW快挙だ。木原は「まさか達成できるとは」と感慨深げで「声援が足が止まりそうな所に力を下さった」と感謝。三浦は「気持ちの弱さが少し出た」と悔しがりつつ「でもうれしいです」と金メダルを握りしめた。

 10年前の同会場では全く違う景色が見えていた。13年全日本選手権、木原は高橋成美と出場。フリーの演技開始直後にバランスを崩し、両手を氷についてしまった。「開始2秒でこけた。全日本最速記録だと思う」。それから10年、今は世界の表彰台の頂点にいる。

 強豪ロシア勢が不在ではあったが、マルコットコーチは「誰がいてもいなくても問題じゃなかった」と実力は本物だと太鼓判を押す。日本ペアの歴史を次々と塗り替えてきた“りくりゅう”。「『日本のペアが変わったね』という日が今日になれば」と木原。歴史的な一日は、間違いなく人々の心に刻まれた。

 ◆年間グランドスラム フィギュアスケートで同一シーズンの国際スケート連盟(ISU)の主要大会を全て制すること。GPファイナル、欧州選手権か四大陸選手権、世界選手権が該当する。日本勢では全種目で三浦、木原組が初めて達成。複数シーズンでこの3つを制する「生涯グランドスラム」は、男子の高橋大輔、宇野昌磨、女子の浅田真央が達成。五輪を含めた4大会を制した場合は「ゴールデンスラム」と呼ばれる。生涯でジュニア、シニアの主要国際大会6冠の「スーパースラム」は男子の羽生結弦が果たしている。

 ◆三浦璃来(みうら・りく)2001年12月17日、兵庫県出身。カナダを拠点に木原と組んで4季目。昨季は北京冬季五輪で団体3位に貢献し、個人で日本勢初の五輪7位入賞、世界選手権銀メダル。大阪・向陽台高出、中京大、木下グループ。146センチ。

 ◆木原龍一(きはら・りゅういち)1992年8月22日、愛知県出身。11年世界ジュニア選手権男子代表。13年にペアに転向し、高橋成美と14年ソチ、須崎海羽と18年平昌両五輪に出場。今季はGPファイナル、四大陸選手権を日本勢で初制覇した。中京大出、木下グループ。174センチ。

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