入江聖奈、引退試合でまさかのミス 同門対決で相手応援団とタッチ「後輩に追い返された」

 決勝で判定勝ちした入江聖奈(左)はリングサイドで応援していた並木月海とグータッチ(撮影・開出牧)
 試合後の会見で心境を笑顔で語る入江聖奈(撮影・開出牧)
 試合後の会見で心境を語る入江聖奈(撮影・開出牧)
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 「ボクシング・全日本選手権」(27日、墨田区総合体育館)

 女子フェザー級決勝が行われ、今大会を最後に引退する東京五輪金メダルの入江聖奈(22)=日体大=が、吉沢颯希(日体大)を5-0で下して優勝した。来春進学する東京農工大大学院で大好きなカエルの研究者を目指すが、現役ラストマッチで有終の美を飾り「幸せな9分間(=3ラウンド)だった。引退試合まで注目してもらえるのはアスリートとしてこの上なく幸せ」と笑顔でリングを去った。

 最後まで笑いと人間味にあふれる“入江劇場”と化した。

 引退試合は同門対決。入江は入場時、日体大の部員の姿を見つけて青コーナー側の応援席に入ったものの、そこは相手の応援についた1年生、3年生の後輩がいる青コーナー側。円陣を組もうとしたものの、「聖奈さんはあっち!」と指摘され、勘違いに気づいた。手早くグータッチだけして別れた後、あらためて赤コーナー側応援席の2年生、4年生の部員と士気を高めた。試合後、「間違えちゃいました。後輩に追い返されちゃった」と小声で恥ずかしそうに告白し、報道陣を笑わせた。

 ゴングが鳴れば一転、拳で魅せた。強打の後輩に対し、1、2回はフットワークを使って距離を取りながら的確にパンチを打ち込み、2回に2度ダウンを奪取。3回は「ボクサーとして最後は打ち合いで終わりたかった」と自らの意思で足を止めて真っ向から打ち合い、最後にもう一度ダウンを奪って完勝した。

 「濃密な9分間だった」と汗を拭い、「後輩と最後まで気持ちよく打ち合えて、先輩として素敵な試合ができた」と感慨深げ。自身が引退した後、女子フェザー級の後進としても期待を掛けるだけに「颯希はパリ五輪を目指しているので、もう一伸び二伸びして頑張ってほしい」とエールを送った。

 日本一を置き土産に、新たなフィールドに戦いの場を移す。「カエル研究で“よきカエル人”になれるように精進する。私は五輪で一生分のスポットライトを浴びさせてもらったので、これからはカエルにスポットライトが当たるように、カエルの普及、生物多様性、保全とかを広められる人間になれるように精進したい」と、ユーモアたっぷりに抱負を語った。

 ◆入江聖奈(いりえ・せな)2000年10月9日生まれ。鳥取県米子市出身。164センチ。母マミさんが持っていた漫画「がんばれ元気」を読んで小学2年でボクシングを始める。米子西高3年で全日本選手権優勝。日体大では19年世界選手権8強。20年3月のアジア・オセアニア予選で日本女子の五輪出場第1号を決めた。昨夏の東京五輪では、日本女子初となる金メダルを獲得した。

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