F1 ハース再建の小松氏は異色の経歴 「やらなかったら後悔」日本GPへ思い語る

 F1・日本グランプリ(7~9日、鈴鹿サーキット)の3年ぶり開催を翌日に控えた6日、ハースの小松礼雄エンジニアリングディレクター(46)が鈴鹿サーキット内で取材に応じた。

 2021年シーズンはマシン開発を一切行わず、翌年へ向けた準備に全力を注いだこともあり、チームとして0ポイント。今季は研究と開発の成果が生かされ、ここまで34ポイントを挙げている。

 小松氏は技術部門の統括責任者、“現場監督”としてチームを再建してきた。「組織がぐちゃぐちゃなところから戦える軍団になった。ちゃんとやれば予選も決勝も戦える」と手応えを持って、母国GPを迎えた。

 「コロナで来られなくて、3年ぶりに戻ってきて楽しみ。皆さんがわくわくできるレースができたらと」と意気込んだ。

 異色の経歴だ。東京都出身。中学、高校とF1のエンジニアになる夢を強く持ち、英語もほとんど話せない中、単身渡英。英国の大学で自動車工学の研究を行い、欧州で技術者にたたき上げられた。F1は03年からB・A・Rに加入。ルノー、ハースと渡った。

 46歳、戻ってきた母国GPで思い出すのは08年、ルノーの一員として臨んだ富士スピードウェイでの日本GP。「初めてレースチームで日本に来た。それでうちの母とか家族も来てくれた。そこでフェルナンド(アロンソ)が勝ってくれた。僕が中学、高校でF1をやりたいと言っているのを信じてくれたのが両親だけだった。ほかはみんな『何を考えているんだ』、『行くだけ時間の無駄だ』って。そういう中で初めて帰ってきたレースで、信じてくれた人の前で結果を残せたのはうれしかった」。

 今、自身の存在を知りF1を目標にする若者も徐々に増えている。20年以上前、まだF3にいた頃の小松氏を書いた文章を読み、オートスポーツ界に飛び込んだ後輩が今、チームで働いている。

 「やりたいことがあれば踏み出さないと。コロナであれ、なんであれ、障害は常にある。それをちょっと難しいことがあるからってやらないなら最初からやらない方がいい。そんなのは乗り越える手段を考えてやればいい。今はインターネットもあるんだし、情報もいっぱい入ってくる。やってみないと分からない。すごい先のことを考えないで、今やれることをやれば、道が開ける。僕はみんながやめろと言っていた。そんなことを聞いていたら何もできない。ごう慢とかじゃない。失敗してもいい。全力を尽くしてやったら、絶対に次につながる。やらなかったら後悔しか残らない」と、自身の経験をもとに訴えた。

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