朝乃山 三段目から出直し星 418日ぶり出場に感謝 しこ名本名「広暉」で再出発誓う

 剛士丸を寄り切る朝乃山(左)=撮影・北村雅宏
 三段目で復帰した朝乃山。行司もはだし
 復帰戦を白星で飾り引き揚げる朝乃山(撮影・北村雅宏)
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 「大相撲名古屋場所・2日目」(11日、ドルフィンズアリーナ)

 新型コロナウイルス対策のガイドライン違反による6場所出場停止処分が解けた元大関で西三段目22枚目の朝乃山(28)=高砂=が、剛士丸(武蔵川)を寄り切り、復帰戦を白星で飾った。昨年夏場所11日目以来418日ぶりとなる出場に感謝し、信頼回復を誓った。幕内では横綱照ノ富士が霧馬山を下して初白星。大関陣は貴景勝が初日を出したものの、かど番の御嶽海、正代はそろって敗れた。2場所連続で2日目を終えた時点で、三役以上の全勝が消えた。

 ファンは朝乃山を待っていた。西の花道から姿を見せると、温かい拍手が一斉に響いた。1年2カ月ぶりに味わう感覚。元大関は「お客さんも1年待ってくださった」と喜びをかみ締めた。

 出番を待つ間、控えで何度も天井を見上げた。「久しぶりですし、もう一度本土俵で相撲を取らせていただけることが、すごいうれしかった」。どうしても感傷的になった。

 相撲は盤石だった。立ち合いでやや変化した相手にも動じず素早く右を差し、左上手も引いて3秒1で寄り切り。勝ち名乗りを受け、ホッと息をついた。

 長かった反省の日々。一番つらかったことには「不祥事起こした時に、相撲協会にウソをついたこと」を挙げた。過ちに誠実に向き合えなかった後悔が気力を奪った。

 さらに昨年8月には父・石橋靖さんが急逝。それでも「師匠にもすごくそばで支えてもらった。『親のためにも、もう1回頑張ろう』と言ってくださった。それで相撲と向き合えるようになった」。高砂親方(元関脇朝赤龍)ら周囲の支えで、ボロボロの心がよみがえった。

 しこ名を本名の「広暉」に戻したのは、再出発の誓いだ。新十両昇進時からの「英樹」は、富山商時代の恩師・故浦山英樹先生が由来で「不祥事を起こして名乗れない自分の思いもあった」。靖さんが亡くなった直後に母・佳美さんに相談。父がつけてくれた本名での復帰は「去年から決めていた」と明かした。

 ようやく訪れた出直しの時。もちろん、これからが大事なのは重々承知だ。「もう一度相撲協会、応援してくださるみなさまに、信用してもらえるように、相撲と向き合っていきたい」。改心を証明するために上がる土俵。重い十字架を背負って、朝乃山は再び相撲道を歩む。

 ◆朝乃山広暉(あさのやま・ひろき)本名・石橋広暉(いしばし・ひろき)。1994年3月1日、富山市出身。近大から高砂部屋に入門。16年春場所、三段目100枚格付け出しで初土俵。17年秋場所で新入幕。19年夏場所、平幕で初優勝した。20年春場所後、大関に昇進。21年秋場所で大関から陥落した。三賞は技能賞1回、殊勲賞2回、敢闘賞3回、金星1。187センチ、170キロ。得意は右四つ、上手投げ。家族は母、兄、弟。

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