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朝乃山の再出発 地元・富山は待っていた 1年ぶり復帰の故郷スターへ変わらぬ愛

 「大相撲名古屋場所」(10日初日、ドルフィンズアリーナ)

 元大関朝乃山(28)=高砂=が、6場所連続出場停止が明けた名古屋場所で、西三段目22枚目で復帰する。協会看板の地位にありながら外出禁止期間にキャバクラ通いという裏切り。処分を受け、長い反省の日々を送り、ようやくみそぎの土俵に立つ。地元富山では、故郷のスターへ、変わらぬ愛があふれている。

  ◇  ◇

 「長かった」、「やっと」、「待ち望んでいた」-異口同音に、地元の人々は復帰にかかった時間への思いを吐露した。さまざまな人に、さまざまな形で、朝乃山は応援されてきた。

 「富山を楽しくする会」の長谷川敏博事務局長は、毎場所製作した幟(のぼり)を県道沿いに立てて応援してきた。朝乃山の実家近くで妹が喫茶店を営んでおり、朝乃山の母から高砂部屋への入門を聞いたのがきっかけ。「トントン拍子で出世したから応援しがいがあった」。幟には横綱大関の昇進口上のような言葉を記す。1月には「臥薪嘗胆 朝乃山」と記した1枚を作り、エールを送った。育てた農作物も部屋に差し入れ。春にはタケノコ30キロを励ましの手紙と送ると、礼状が届いた。名古屋場所に向けては「初心に返って真っしぐら 朝乃山広暉」としたためた5×2・4メートルある倍のサイズの幟を新調。「精神的に大丈夫かと心配だった。早く元の位置に帰って来てほしい」と期待を寄せた。

 姉倉比売(あねくらひめ)神社は、朝乃山一家がよく参拝し、厄払いもした近所の神社。若宮得幸宮司は、昨年1月に鳳凰をデザインした化粧まわしを寄贈した。その4カ月後の不祥事発覚。「最初は『何をやっとんや』と言いましたよ」と憤りもあった。同8月、父の葬儀で帰郷した朝乃山に会った際「頑張れ」と声をかけると「頑張ります」と返ってきた。「頑張って稽古しているということだから。楽しみにしてますよ。鳳凰は徳を積んだら現れるというめでたい鳥。順調ならすぐ十両に戻って化粧まわしもしてもらえるでしょう」と再び羽ばたく姿を思い描いた。

 「朝乃山どら焼き」を販売する「くれは製菓」。十両に戻るまで県外発送を見合わせているが、店で買っていく客が最近は増えてきた。定期的に高砂部屋に和菓子を差し入れているが、十両陥落時には、店の近所で募った寄せ書きも一緒に送付。朝乃山からの返事には「必ずはい上がります」と書いてあったという。代表の米田宗尚さんは「この1年はみんな『さみしいね』って言い合って。だから何倍も楽しみ。間違いを生かしてくれたらいい」と優しく見守る。

 呉羽地区自治振興会では不祥事発覚時、処分軽減の嘆願書に1万1549人の署名を集めた。以前は取組のパブリックビューイングも開催。名古屋場所では、13の町内会に製作した幟50枚を掲げて応援するように呼びかけている。北森正誠会長は「1日でも早く、テレビで姿が見られる地位まで戻ってきてほしい」と復活を願った。

 朝乃山富山後援会には、復帰が近づくとともに、問い合わせも右肩上がりになった。青木仁理事長は「1年間出ていない朝乃山を気に掛けてくれるファンの方はありがたい。応援には感謝しかない」と語った。出場停止期間中も食品や水、菓子類を部屋に差し入れ、サポート。会うことは控え、部屋関係者を通じて状況を確認してきた。関取復帰までは、後援会として目立った活動は自粛。復帰しても、場所への応援などの再開は「まずは本人が相撲ファンに頭を下げてから」と筋を通す。名古屋場所からの期待を問われた青木理事長は「勝って反省の意を示すしかないじゃないですか」。それが真面目に改悛(かいしゅん)の日々を送ってきたという証明にもなる。厳しくも温かいゲキ。1年間抱え続けた愛情を、再出発する朝乃山に注ぐ準備はできている。

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