51歳で1月引退の元華吹 神戸にちゃんこ店オープン 鉄人力士が第二の人生

 昭和、平成、令和と3元号に渡り大相撲の土俵で戦った唯一の力士で今年1月の初場所を最後に引退した51歳、元三段目の華吹(はなかぜ)の山口大作さんが15日、神戸市兵庫区に「ちゃんこ長 華吹」をオープンした。東京出身ながら30年来の宝塚歌劇団の大ファンで第二の人生を兵庫で出発。現役時は寡黙で知られた“昭和の鉄人”が36年の土俵人生を振り返り、伝統ある立浪部屋のちゃんこ長として究めた秘伝の味もアピールした。

 武骨なイメージの元華吹さんは、何と“すみれの花”の力士だった。所属した立浪部屋の関係者と“ヅカファン”を縁に親交を深め、引退後、神戸市にちゃんこ店を出すことを勧められ快諾した。

 30年、東京の宝塚劇場に通い続けていた。阪神・淡路大震災の95年、宝塚の劇場で公演が再開されたメモリアルな日にも立ち会った。

 宝塚の魅力は「トップに上がっていく段階が面白い」と言う。36年過ごした番付社会に通じるものがある。

 115年ぶり50歳代の現役力士。在位214場所は史上最多と角界の高齢記録を刻んだ鉄人。「テレビでも取り上げられて本当にびっくり」と振り返る。

 無口を貫いたのは「相撲は礼に始まり礼に終わる。自分が勝った相手の親御さんのことを考えたらしゃべる必要はないかなと」と信じる相撲道があった。

 話すのは嫌いではない。ただ「ネットのコメント欄を見ていたら『(華吹は)昭和のお相撲さん』だと。それを見たら、しゃべったらまずいよな」と意外な理由も明かした。

 ちゃんこ長として26年。小結豊昇龍、幕内明生らの肉体を支えてきた。味を究めてきたのは実は新弟子の頃の体験が原点にある。

 87年、横綱双羽黒と先代立浪親方(元関脇羽黒山)がちゃんこの味をめぐり衝突。そのまま廃業となった。当時の味は覚えていないが、環境の変化もあり体重は「98キロから20キロ減った」と言う。

 だからこそ立浪伝統の味を残しながら鍋も11種類を創作。鍋以外も多い時で7種類もの料理を食卓に並べた。師匠の立浪親方(元小結旭豊)に「作りすぎだ」と苦笑いされながら角界屈指のちゃんこ長になった。春場所の千秋楽、立浪部屋で断髪式を行った。師匠にまげを落としてもらい、ねぎらわれた。

 「ちゃんこ長 華吹」の鍋は魂を込め自ら監修。味には絶対の自信を持ち、51歳、第二の人生を出発した。

 ◆華吹大作(はなかぜ・だいさく)本名・山口大作。1970年5月28日、東京都足立区出身。1986年春場所で初土俵。最高位は東三段目18枚目。通算683勝788敗13休。通算214場所は歴代最多。21年初場所は50代力士で116年ぶりの勝ち越し。得意は右四つ、上手投げ。180センチ、120キロ。宝塚以外にもJ1柏レイソル、プロ野球・ロッテ、プロレス観戦などが趣味。夢は「両国国技館でビールを飲みながら相撲を見たい」。

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