柔道東京五輪金の新井千鶴が引退「第二の人生思い強く」27歳 指導者に転身

 東京五輪柔道女子70キロ級で金メダルに輝いた新井千鶴(27)=三井住友海上=が10日、オンラインで会見し、現役引退を発表した。「私、新井千鶴は9月10日をもって現役を引退することを報告させていただきます。これまでの競技人生ではさまざまな方の応援やサポートで現役生活を続けることができた。全ての方に感謝します」と晴れやかな表情で報告。今後は指導者として活動するといい「新しいことにも挑戦していきたい」と話した。

 新井は6歳から柔道を始め、12年に三井住友海上に入社。釣り手と引き手を持って技を仕掛ける本格派で、15年世界選手権に初出場した。16年リオデジャネイロ五輪は代表争いに敗れたが、17年世界選手権で初優勝を果たし、18年大会でも2連覇。今夏の東京五輪に出場し、悲願の金メダルを獲得した。

 現役中から今後の針路について考える機会も多かったといい「東京五輪の後、第二の人生を歩んでいくという思いが強くなって決断した」と報告。一番思い出に残る試合については「世界選手権2連覇という経験も思い出だし、何よりも東京五輪という大会で、一試合一試合が印象深く思い出に残っている」と振り返り、「私の柔道人生は何一つ楽なものがなく、険しい道のりも多かったが、競技力だけに重点を置くのではなく、たくさんの方との出会いによって人間的にも成長させていただいた。競技生活で得たものを今後の人生でも生かしていきたい」と力を込めた。

 ◆新井千鶴(あらい・ちづる)1993年11月1日、埼玉県出身。左組みで、得意技は内股、足技。兄の影響で6歳から地元の男衾クラブで柔道を始めた。男衾中、児玉高と進み、12年に三井住友海上に入社。15年世界選手権に初出場し、17、18年大会は2連覇を果たした。172センチ。

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