白鵬「ただいま」進退場所で鬼迫の1勝 明生とがっぷり四つ、意地で投げ勝った

 明生(左)を掛け投げで下した白鵬(撮影・佐藤厚)
 明生を掛け投げで下し、気迫のこもった表情を見せる白鵬
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 「大相撲名古屋場所・初日」(4日、ドルフィンズアリーナ)

 6場所連続休場から進退を懸ける一人横綱白鵬(36)=宮城野=が新小結明生を土俵際、必死の掛け投げで何とか振り切り、111日ぶり白星でスタートした。結果が出なければ史上最多V44の大横綱も引退は不可避。崖っぷちも何の「ただいま!!」と声を張り上げ、自信と貫禄を漂わせた。綱とりに挑む大関照ノ富士は平幕遠藤を寄り切って満点発進。貴景勝、正代も勝ち、2年ぶり名古屋は大関以上の4人が安泰で幕を開けた。

 気迫満面、白鵬が執念星をもぎ取り、右の拳を振った。立ち合いは、なりふり構わぬ右張り差し。左四つがっぷりで攻め切れない。外掛け狙いの相手の足をはね上げ、掛け投げ。もつれながら、相手を土俵にたたきつけた。

 高ぶる感情を抑えるように何度も「ふーっ」と息を吐いた。6場所連続休場明けで相撲勘が不安視される中、絶対に落とせない初戦。緊張は極限まで高まっていた。

 オンライン取材に現れた白鵬は「お疲れさんです。ありがとうございます」とハイテンションで久々の生声。重圧を問われると「本当、いろんな思いがあるし、きょうしゃべったら終わりませんから。『ただいま!!』って感じです。(大きな拍手が)気持ち良かった」と声を弾ませた。

 崖っぷちの15日間に楽な相手などいない。明生も2年前に勝っているが、今は馬力が違う。「重さがあった。最後、外掛けにいくあたり、うまさがあった。経験とうまさでちょっと(自身が)上回った感じ」と相手を認めながら、14年横綱に君臨する王者としてのプライドをにじませた。

 大きな1勝。だが、険しい進退ロードは長い。八角理事長(元横綱北勝海)は「がっぷりになったらいつもは(相手が)動けないけど、きょうは動かれた。序盤を乗り切れればいつもの白鵬に戻ってこられると思う」と話し、本調子にはまだ遠い。

 111日ぶり横綱土俵入りに、相撲を待ちに待った名古屋のファンは拍手喝采。今場所のため新調した真っ白な綱。綱打ちの時、白鵬は進退に関し言った。

 「初めは最後の場所という意味かと思ったけど、進退という言葉の意味を理解できるようになりましたね。進むのか、退くのか、止まるのか」。運命の15日間、進む道以外、頭にはない。

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