五輪プレーブックにダメ出し続出 米医学誌コロナ対策「科学的証拠に基づいていない」
コロナ禍の中での開催の可能性が高まっている東京五輪・パラリンピックについて、大会側が公表した新型コロナウイルス対策をまとめたプレーブック(規則集)への“ダメ出し”が27日までに相次いだ。医学界で最も権威ある医学誌と称される「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)」は25日付の電子版で「科学的証拠に基づいていない」と批判する論文を掲載。このほか各国の感染症専門家から大会関係者を隔離するバブルの“穴”を指摘する声が上がっており、大会の前提となる「安全安心」が揺らぎをみせている。
渡航中止を勧告した米国に続いて、医学界からも大会開催の安全面に“ダメ出し”が入った。
「NEJM」に掲載された論文では、ワクチン接種率が低く、変異株が流行する日本での開催は「ハイリスク」とされ、プレーブックについて「最高の科学的証拠に基づいていない」と批判。五輪は選手、関係者らを隔離した“バブル”方式で実施されるが「アスリートに自己責任での参加を求める一方で、さまざまなレベルのリスク管理、体温スクリーニングなどの対策の限界の認識の両方に失敗している」とし、同じくバブル方式で一定の成功を収めた米のNBAやNFLなどで培われた厳格なプロトコル(規格)の教訓に「耳を傾けていない」と指摘。スマートフォンによる接触追跡アプリではなく、身に付けられるウエアラブル端末などを推奨しつつ、「最も安全な選択肢は中止」と、警告した。
大会の安全面については、25日にニュージーランド保健省対策本部顧問を務めるオタゴ大学のマイケル・ベーカー教授がロイター通信の取材に「大会開催は理不尽でバカげている」と批判するなど、感染症の専門家からの疑問が相次いでいる。IOCや日本側はプレーブックについて「WHOから高い評価を得ている」とし、自信をみせているが、安心安全の要であるバブル(泡)に、果たして“穴”はないだろうか。




