バッハ会長の来日見送りへ 橋本会長17日視察「非常に厳しい」
東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)が7日、都内で定例会見を行った。この日、東京都などに発令されている緊急事態宣言の5月末までの延長が決定。17日の広島での聖火リレーに向けて調整されていた国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長の来日については「非常に厳しい」と話し、見送りが濃厚となった。また、コロナ禍で五輪を強行しようとしているとして、米紙が5日にバッハ会長を『ぼったくり男爵』と表現したことについては「理解に苦しむ」と苦言を呈した。
揺れる東京五輪の行方を占う、“キーパーソン”の来日は見送りが濃厚となった。橋本会長は17日で調整されていたバッハ会長の来日について「現段階では何も決まっていない」とした上で、緊急事態宣言延長の状況から「非常に厳しい。直接見ていただくことは重要だが、困難な状況の中でおいでいただくのは、バッハ会長にも負担をお掛けすることになる」との認識を示した。
仮に来日がかなったとしても、歓迎されるムードはない。バッハ会長を巡っては、米有力紙ワシントンポストが5日に掲載した東京五輪中止を提言するコラムでコロナ禍の中で日本に五輪開催を強要しているとして、バッハ会長を「ぼったくり男爵」と痛烈に批判。開催に否定的な世論が続く日本国内でも同会長への反発は強い。
橋本会長はこの日、“ぼったくり男爵”の表現に「何を根拠にそのような表現をされたのか、理解に苦しむ」と苦言を呈した。そして「強いリーダーシップを持っており、敬意を持っている」と擁護したが、大会関係者は「今きてもらっても逆効果にしかならない。前回の来日(昨年10月)よりも、(世論の)状況は悪化している。何かが起こったら大問題になる」と神経をとがらせており、当面来日を見送る可能性は高い。
ただ、開幕まで残り2カ月半となる中で、IOCのトップが視察にも来られないとなれば、“異常事態”を世界に発信することになる。いまだ霧晴れぬ夢舞台へ、難しいかじ取りは続く。