隠岐の海、響龍さんの死に「何も言えない」「顔から落ちろっていう指導もある」

 4月28日に亡くなった三段目の響龍さん(本名・天野光稀)に対し、1日、八角部屋の幕内隠岐の海(35)が稽古後の電話取材でショックをあらわにした。

 響龍さんは春場所の取組で頭部から落下。1カ月以上、闘病し、急性呼吸不全のため、28歳の若さで帰らぬ人となった。

 隠岐の海は「何にも言えないですよね。お父さんお母さんのことを考えると言葉が出ない。自分たちができることは稽古でけがしないように一生懸命ふだんからやること。それしかないんじゃないですかね。つらいと思いますよ。対戦相手の子も。何もないと思ったって感じることがあるだろうし、自分らだってきついからですね」と、言葉に詰まった。

 土俵上の事故がきっかけに亡くなることは異例。事故が直接の死因かどうかは分からないものの、「すべて不運が重なったんでしょうね」と悔やんだ。

 首付近に衝撃が走ることは力士なら日常茶飯事。「(一般の方は首に)電気が走って熱くなって腕が上がらなくなったことはないですよね。お相撲さんってよくあるんですよ。よくあることって『大丈夫、大丈夫』ってなっちゃうんですよね。やっぱり『それを乗り越えて先がある』ってなっちゃうし、顔から落ちろっていう指導もあるし。でも本当に危ない時は手を付かないといけないと思いましたよ。やっぱり土俵際の俵のところは気を付けないと。それだけ危ないことをやっていると改めて自覚しないといけないですよね。こればっかりは何も言えない。簡単には言えないね」と格闘技として、危険を再認識した。

 自身も何度も首付近を痛め、半日、“電気”が走ったこともある。「紙一重なところをいっているんですよね。それを怖がって相撲にならないのもいけないですしね。こればかりは難しいですよ。だからわれわれは一生懸命にやるだけで、それが最大限の予防というか…」と、言葉を選びながら語った。

 部屋でも師匠で理事長の八角親方(元横綱北勝海)から訓示があった。「とにかくそれだけ危ないことをやっているんだという話はありましたね。気を引き締めてやらないとだめだ、と。改めて気を引き締めてやろうということはありましたね。それ以上、あまり言い過ぎても、かえってびびっちゃうし、頭にみんな残っていますからね、衝撃が。考えれば考えるほど怖いだろうし。一生懸命やるのが正解なんじゃないですかね」と話した。

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