「大相撲初場所・初日」（１０日、両国国技館）

　新型コロナウイルスの影響で６５人が全休の異常事態の中、新年場所が幕を開けた。緊急事態宣言下、日本相撲協会は厳戒態勢で感染予防を徹底する。芝田山広報部長（元横綱大乃国）が電話取材に応じ「体調不良者が出れば即刻、検査して万が一、感染が出たら部屋を封鎖する手立てをして乗り越えていかないといけない」と厳しい１５日間を前に話した。

　開催を決めたことに協会への反響も「ネットとかは賛否両方いろいろあるけど」と言う。ただ「協会は安心、安全を構築していく。こんな中でも来ていただいてありがたい」と来場者に感謝した。チケットを購入したが、コロナ禍で来場を控えたい人には払い戻しにも対応する。「協会に問い合わせてくれたらアナウンスしてくれると思う」と、同部長は説明した。

　一方、９日に佐渡ケ嶽部屋の序二段力士、琴貫鉄がコロナが怖いとの理由でＳＮＳ上で引退を発表した。同部長は「もう引退して、部屋で断髪式もしていると聞いた」と語った。協会としては協会員の安全、安心にも対策をしてきたと思うだけに複雑な思いだ。

　「会社にもコロナが怖いから出社したくないって言う人もいるだろう。それをみんなが言っていたら仕事にならない。協会は安全対策を取ってきた。それに対応ができないなら本人が出処進退を考えるしかないということ。一丸となる中、それは違うと思う。組織が成り立たない」と、残念がった。