貴景勝が大関初V 本割惨敗も…決定戦無心の電車道!初場所綱とりに挑む

 「大相撲11月場所・千秋楽」(22日、両国国技館)

 大関貴景勝が18年九州場所以来2年ぶり2度目、大関として初の優勝を遂げた。本割で小結照ノ富士に屈し、13勝2敗で並ばれたが決定戦は電車道で制した。大関の優勝は17年初場所の稀勢の里以来22場所ぶり。2横綱2大関不在の異常事態場所で“一人大関”として責任を全うし、優勝インタビューでは涙ぐんだ。21年初場所(1月10日初日、両国国技館)で初の綱とりに挑む。

 優勝を決めた瞬間、貴景勝は感情がこみ上げ、表情を崩した。本割で裏返しにされ完敗。「情けなさと悔しさ」を全身で味わった。

 決定戦までに考えたのは「新弟子の頃から何も考えず、強くなりたかった自分」という原点。そして「初めて脳を止めた」と無心で体の反応に任せた。

 鋭い踏み込みから照ノ富士を一気の押し出しで雪辱。苦悩して2年ぶりの賜杯を手にした。優勝インタビューでは「一人で優勝はできなかった。サポートしてくれる皆さんのおかげ」と師匠・千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)、部屋の仲間らへの感謝を述べ涙ぐんだ。

 初優勝が「夢みたい」とすれば、今回は「積み重ね」。この2年、両膝、左胸と故障を繰り返した。治療に一生懸命、向き合ってくれた人に感謝。番付が上がれば周りはちやほやするが、「どういう状況でも叱ってくれる人」にも支えられた。

 場所前から「大関として優勝」を掲げ有言実行した。両横綱が全休し、朝乃山、正代と大関陣も序盤で離脱。一人大関として重圧を背負った。22場所ぶり大関の優勝で番付の権威を取り戻した。

 コロナ禍の故郷にも勇気だ。兵庫県西宮市の母校・仁川学院小も貴景勝兄ちゃんに大盛り上がり。同校の先生によれば「男の子も女の子も『優勝は間違いないよ』と話していた」という。貴景勝は同小に通った頃、03、05年の阪神優勝を鮮明に記憶する。藤川球児らに興奮した小学生は今や同校のヒーローだ。

 8月末、元大関北天佑の次女・千葉有希奈さん(28)と婚約発表後、初の賜杯。“義父”と並ぶ2度目の優勝で婚約祝いとなった。

 初の年間最多勝のタイトルにも輝き2020年を満点締め。21年初場所が初の綱とりとなる。昇進を預かる審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は「(来場所は)優勝しなきゃダメ。レベルの低い優勝だと困る。今場所みたいに勝っていけば」と13勝以上の優勝を昇進のメドにした。

 小学生から目指した角界頂点への挑戦。「強ければ勝つ。弱ければ負ける」と気迫十分。一発綱とり成功なら兵庫県出身では1912年の大木戸以来、109年ぶり新横綱となる。

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