国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）のトーマス・バッハ会長（６６）が１７日、来夏に延期された東京五輪・パラリンピックの選手村とメインスタジアムである国立競技場、五輪ミュージアムを視察した。常に五輪開催に反対する抗議の声が響き渡る、物々しい雰囲気での視察。日本ではまだ開催に否定的な声が多いが、同会長は「説明を続ける」と粘り強く対応していく考えを示した。

　国立競技場で約２０分間、取材に応じたバッハ会長。スタジアムの外からは抗議運動を行う五輪反対派の「バッハ、出てこい！」「オリンピック、いらない！」などの声が響き渡ったが、落ち着いた口調で諭すように話した。「先が見えない中で、人々が不安や疑念を持つのは人間として当たり前。人間はものを知らないと疑い深くなる。説明を続けるしかない。９カ月後は全然違った世界になっている。ワクチンも開発が近い。大会は必ず開ける」と、開催に改めて理解を求めた。

　前日、海外から大会に参加する選手、関係者についてはＩＯＣの負担でワクチン接種を奨励すると話していたが、この日は「選手村に居住するすべての参加者にはワクチンを受けてほしい」とした。

　１８日には帰国予定。「来年の春にはまた来るだろう。聖火リレーも始まる」と、来春の再来日を約束した。