引退の琴奨菊“ライバル”稀勢の里と豊ノ島を思い感慨「みんなの強さが身に染みて」

引退会見で感極まる琴奨菊(日本相撲協会提供)
2枚

 「大相撲11月場所・8日目」(15日、両国国技館)

 日本相撲協会は元大関で十両の琴奨菊(36)=佐渡ケ嶽=の引退および年寄「秀ノ山」の襲名を発表した。午後、オンラインで会見を開き、男泣きし、19年に及ぶ土俵人生を振り返った。

 思い出の一番を問われると、「自分が思い出すのは幕下の時、下の時…」と言葉を詰まらせた。「厳しく胸を出してくれた兄弟子…」と目を潤ませた。

 続けて涙声で「師匠の思いとか、ライバルの存在が一番なので、どれが(思い出の一番)というか、苦労した時の方が思い出。土俵で白星を挙げた時、みんなが喜んでくれたから思い出はすべての取組」と力を込めた。

 ライバルは2人の“同期生”。02年初場所でともに初土俵を踏んだ元関脇豊ノ島(現井筒親方)、そして自身より1場所遅れで初土俵を踏んだ元横綱稀勢の里(荒磯親方)だ。

 稀勢の里とは同じ二所ノ関一門で出世を張り合った。「土俵上で自分を試せる一番の相手。何も考えずにぶつかれる。一番の思い出は横綱と三番稽古(同じ相手と続けて取る)を誰よりもしたこと」と胸を張った。

 稀勢の里がいたから自身も伸びた。「無我夢中で食らい付いて、自分がどこかで気遅れしたり力を抜くと壊されると思って、前日から準備して稽古場に臨んだ日が懐かしい」と、感慨にふけった。

 豊ノ島は同学年で幼少期から争った。「幕内でも対戦して比べられるのは豊ノ島の存在。十両は先に行かれてくやしい思いがあった。三役は自分が早かった。いつも意識して半枚でも上にいこうと思ってやっていた」と、振り返った。

 3人の中では一番、長く現役を務めた。「その時代に戦えたみんなの強さが身に染みて分かっている。自分は納得のいくまで取り切ろうと思った」。戦友らの分まで背負った。

 地元、福岡県柳川市の応援にも感謝。「支えてもらった。恩返しできるのは土俵の上しかない。白星を挙げたら喜んでもらえる。結果を残したかった」と、語った。

 いつも地元に帰ると、後援者らにあいさつ回り。「力士として身内は最後」と、家族には寝る時くらいしか顔を合わさなかった。これからは違う。「心配をかけてばかり。丈夫に生んでくれて。もっと親孝行できる」と、しみじみと語った。

 自身にとって相撲とは「日常の考え方、行動がすべて土俵に表れる」ものという。3歳の長男・弘人くんは相撲が大好きという。「(自身は)相撲の素晴らしさを身に染みて分かったので相撲界に入っていろんな経験をしてもらいたい」と、愛息が力士を志す日も期待した。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス