池江璃花子、堂々の4位 1年前はスタンド観戦…闘病中からの目標舞台で笑顔見せた

 「競泳・日本学生選手権」(1日、東京辰巳国際水泳場)

 開幕し、白血病から復帰した池江璃花子(20)=日大=が女子50メートル自由形に出場し、25秒62で4位だった。1年7カ月ぶりの復帰戦となった東京都特別水泳大会から約1カ月で、タイムを0秒70も短縮。12月に延期された日本選手権の参加標準記録25秒94(予定)を突破した。優勝は24秒93をマークし学生新記録を更新した今井月(20)=東洋大=だった。

 1年前は、スタンドから声援を送ることしかできなかった。この舞台で泳ぐ日を夢見て、時には耐え、時には前を向きながら、一歩ずつ進んできた。闘病中から目標に掲げてきた日本学生選手権、通称「インカレ」。池江はその夢舞台で、堂々たる泳ぎを見せた。

 予選から、目標としていた25秒8台をマーク。予選のレース後には、荷物置き場でチームメートと言葉を交わし、涙ぐむ瞬間もあった。決勝ではさらにタイムを縮め、復活の4位。約1カ月前の東京都特別水泳大会からは、0秒70も縮めた。

 「このインカレを目標としてこの1年間頑張ってきたので、ちょっと感慨深かった。4番という結果は悔しいけど、今の段階としては上出来すぎるかなという感じ」。はにかむ笑顔がまぶしかった。

 約1年7カ月ぶりの復帰戦となった東京都特別水泳大会では「楽しんで泳ぐことが一番だった」と話していたが、本当は「不安要素が大きいまま」迎えたレースだった。「細い体で、前とは違う感じの自分を見せるのが、ちょっと恥ずかしさもあった」。楽しみたいと願う一方で、負の感情をぬぐいきれない自分がいた。その後、練習を重ねる中で「このままじゃダメだ」と思ったという。

 気持ちを切り替え、「とにかく練習を楽しもう」と言い聞かせながら泳ぎ始めると、気付けば泳ぎもタイムも、手応えが大きくなった。「今回は楽しみの方が強くて、自信もすごくあった。全体的にポジティブな試合になったかなと思う」。また一つ、強くなれた。

 今大会の記録で、12月の日本選手権の参加標準記録25秒94(予定)も突破。出場か見送るかは未定だが「今やることは泳ぎこんで、自分の実力を戻すこと」と冷静に自身を見つめている。「次の大きな目標にとらわれず、今を一個ずつやっていけたら」。24年パリ五輪という大きな目標を心の軸に。焦らず、地に足をつけて池江は前進を続ける。

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