大坂なおみ2年ぶり2度目V!四大大会3勝目「信じられないくらい素晴らしい瞬間」

 「テニス・全米オープン」(12日、ニューヨーク)

 女子シングルス決勝が行われ、18年大会以来の決勝進出となった世界ランク9位の大坂なおみ(22)=日清食品=は、元世界1位で現27位のビクトリア・アザレンカ(31)=ベラルーシ=に1-6、6-3、6-3で逆転勝ちし、2大会ぶりの2度目の優勝で、四大大会3勝目を飾った。ツアーでは今季初勝利、通算6勝目となり、優勝賞金300万ドル(約3億1800万円)を獲得した。この優勝で大坂は、14日に発表される最新の世界ランクで3位に浮上する。

 最高の時間だった。歓喜の瞬間、大坂が仰向けに寝転ぶ。激闘の余韻が残るコートの熱を背中に感じながら、1分ほどニューヨークの空を見つめた。

 「崩れ落ちる時があるけど、けがをしたくないので寝転んだ(笑)。今まで偉大な選手が倒れ込んで空を見上げるのを見てきたから、どんな景色が見えるのかと。信じられないくらい素晴らしい瞬間だった」-。

 戦うその姿は気高く、そして強かった。第1セットを1-6で落としても、今の大坂は気持ちが切れない。第2セットの0-2で迎えた第3ゲームから反撃に転じた。精度を取り戻したショットで、第1セットは完璧な内容だったアザレンカを徐々に崩していく。焦る相手のミスを引き出してブレークを連発し、このセットを奪い返すと、勢いづいた最終セットは先にブレークを奪い振り切った。全米オープン女子決勝では過去25年間、第1セットを落とした選手による逆転勝ちはなかった。試合巧者の元世界1位を見事攻略し、ジンクスを打ち破った。

 18年全米、19年全豪を制し、世界ランクも1位に。一躍世界のトップ選手となったが、その後は一変した立場と重圧に苦しんだ。自分のミスにいら立ち、ラケットを投げるなど精神を乱して自滅。格下にあっさり敗れ、トーナメント序盤で姿を消すことも多かった。コーチも2度交代。それでもそんな日々が、強くなるためには必要だった。「これまでは簡単に心が弱くなっていたけど、本当に戦いたい、闘争心を燃やしたいと思えた」。新型コロナウイルス禍にテニスができず、自分を見つめ直す時間を持てたことが心身の成長につながった。

 この勝利を捧げたい人がいた。親交のあったNBAのスター、コービー・ブライアントさんが今年1月にヘリコプターでの事故により他界した。大坂の苦しい時期に「失敗から学ぶように」と励ましてくれた“兄貴分”。試合後の会見、レイカーズのユニホーム姿で登壇した大坂は言った。「コービーが誇りに思ってくれる選手になれたら。彼ほど多くの人を感動させることができるのは素晴らしいこと。彼のやっていたことを継いで1人でもインスパイアできる人でいたい」-。

 2年前は相手のS・ウィリアムズ(米国)が再三判定に抗議して罰則を受けたため、ブーイングも起きる異様な雰囲気の表彰式に涙を流し、自らを「ベイビー」だとたとえた。19年全豪優勝時は、自らの精神年齢を「5歳」と称した。今はもう違う。「今はより完成された選手だと思っている」。穏やかな表情でそう話す22歳に「女王」の冠はふさわしい。

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