パロディーは芸術?五輪風刺画撤回に外国人記者は反発と嘆き「先進国では日本ぐらい」

 日本外国特派員協会(FCCJ)のカルドン・アズハリ会長は21日、月刊会報誌に掲載した東京五輪の大会エンブレムと新型コロナウイルスのイメージを掛け合わせたデザインが、東京五輪・パラリンピック組織委員会から抗議されたことについて会見し、エンブレムの撤回を表明し、謝罪した。ただ「これは表現の自由、報道の自由の問題ではなく、著作権の問題」と法的な問題が最大の理由と強調。一方で協会員である海外メディアの記者たちからは、協会への反発の声が上がった。“パロディー”や“風刺”を巡る日本と海外の温度差が浮き彫りとなった。

 オンラインで行われた会見では、外国人記者からの不満や怒りの質問が大半を占めた。なかにはコロナエンブレムが印刷された紙をアピールしたり、Tシャツを着て参加する記者も。「著作権の問題なら、なぜ謝罪する」、「これが問題とされるということは、欧米では考えられない」、「ネガティブなものを印象づけるものではない。パロディーを批判する人は文化、歴史を理解していない。パロディーは芸術だ」、「著作権の問題として矮小化するのではなく、報道の自由の問題として、組織委に抗議すべき」と、質問に怒気をはらめながら訴えていた。

 FCCJは、組織委の抗議を受け、理事会内で協議。弁護士や著作権の専門家から、「日本の法律において、有利ではない」と助言を受け、撤回を決定したという。

 ただ、会長自身も「我々は日本を拠点としており、日本の法律に従う必要がある。コロナ禍で世界の多くの人々が苦しんでいる中、著作権をめぐる法的な部分に踏み込むべきではない」と理解を求めた上で「これが中東やスペイン、欧米ではたぶん問題にされないだろう」と、吐露。また、司会を務めた男性が「日本ではパロディーや風刺について、著作権法の中になんの個別的規定も一般的規定などもないことから、パロディーについては裁判所によっては常に著作権侵害となるリスクを抱えている。ほとんど何もできない状態になっている。それがパロディーや風刺が日本ではまったくできない理由になっている。先進国では日本ぐらいしかない状況」と、日本の法体制について指摘した。

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