レスリング土性沙羅が五輪切符!どん底からの復活 盟友の懸命サポートに応えた

 「レスリング・東京五輪代表決定プレーオフ」(8日、味の素ナショナルトレーニングセンター)

 2階級で行われ、女子68キロ級は16年リオデジャネイロ五輪金メダルの土性沙羅(25)=東新住建=が19年全日本女王の森川美和(20)=日体大=に3-1で勝利し、2大会連続の五輪代表を決めた。

 “右肩下がり”の折れ線グラフに終止符を打った。代表を決めるチャンスを2度もフイにしていた土性は、ここで負けたら連覇の夢も霧散する。「人生を懸けて挑戦した。ここで倒して五輪にいくと」。代名詞のタックルは不発でも、意地と経験で若手を凌駕(りょうが)した。

 「落ちるところまで落ちた」。金メダリストになってからは悩める時間の方が圧倒的に長かった。両肩には脱臼癖があり、2年前に左肩の亜脱臼を再発。18年4月に意を決して手術したが、リハビリは気が遠くなるほど長くつらい。パワフルに相手をなぎ倒してきた五輪女王が、母祐子さんの手を借りないとドライヤーで髪を乾かすこともできなかった。

 復帰後も結果を残せない。19年の世界選手権で5位に終わると、全日本選手権は森川に完敗。左膝も負傷し「また頑張れるかな…」とうちひしがれたが、思い切って2週間の完全オフを取り、湧き起こってきた「やっぱりレスリングが好き」という心の声が再び足をマットに向かわせた。

 森川との再戦。振り返れば心強い盟友の顔があった。相手セコンドが五輪4連覇の伊調馨なら、こちらはリオ五輪女王の川井梨紗子と登坂絵莉。高校時代からの先輩でもある登坂は東京五輪代表を逃した後も「毎日道場に顔を出して練習を見てくれた」。献身的なサポートが身にしみた。

 五輪切符を死守し、2人で抱き合って泣いた。自身もけがで低迷していた登坂は、土性が手術やリハビリで悩む度に背中を押してくれた。「一緒に(五輪に)出ることはできないが、恩返ししたい」。もう並走はできないが、目指すのは“2人分”の金メダルだ。

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