五輪かかる大会で審判ミス、高橋「勝敗に影響はない」日本選手権20キロ競歩

 「陸上・20キロ競歩日本選手権」(16日、神戸市六甲アイランド甲南大周辺公認コース)

 東京五輪の代表選考を兼ねて行われ、男子は昨年の世界選手権ドーハ大会で金メダルに輝いた山西利和(愛知製鋼)が1時間17分36秒で初優勝を飾った。6連覇がかかり、優勝すれば五輪代表に決まっていた高橋英輝(富士通)は、18キロで歩型違反の3度警告を受け、ペナルティーゾーンで2分待機したため、1時間19分53秒で3位に終わった。高橋に対しては、3度目の警告の前に審判員のミスがあった。

 選手はレース中、コースに設置されたホワイトボードで自身の違反数を確認する。高橋には「ロス・オブ・コンタクト」(両足が同時に地面から離れた状態がある)の警告がまず4キロで出された。その後、8キロでも出され、2つの警告が表示されていた。しかし、15キロで3つ目の警告が出される際に、その前の1つが取り下げられ、3つになるはずの警告は、また2つになった。高橋は「途中(掲示が)ついて消えたので、混乱しながら歩いていた。(心理的には)難しかった。集中できなかった」と振り返った。

 レース後、関係者から事情聴取した審判員主任の藤崎明氏は、8キロでの警告に“実体”がなかったことを説明。ただ、明確な原因は判明しなかったという。歩型違反は審判が判定し、集計担当から掲示担当へと伝達されるが、その作業中で連絡ミスが原因だと推測した。

 歩型違反は3度警告を受ければ、ペナルティーゾーンで待機となるため、2度目の警告を受けると重圧がかかる。今回は、実際に警告が1つのところで2つ掲示されていた距離は約7キロ。高橋は、その間に山西と激しい首位争いを繰り広げていた。最終的に3つの警告を受けた高橋は「勝敗とは関係ない。自分の歩きが悪かっただけ」と負けを受け入れたが、心理的影響は否めない。

 運営側は、今後は伝達の際に「〇度目」と声で伝えるだけではなく、紙に「〇度目」と明記することなどを取り入れるといい、藤崎氏は「あってはならないこと。再発防止に務めたい」と話した。今大会は昨年までの1周2キロコースから五輪と同じ1キロコースへと変更され、審判が歩型を判定する回数が増えていた。今回の9人の審判員のうち5人は東京五輪を担当するが、藤崎氏によると五輪では各班が端末でつながっているため、伝達によるミスにはつながらないという。

 藤崎氏は「心理的負担をかけたことは間違いない」とし、高橋の所属先に事情を説明。高橋は五輪への最終選考会となる全日本競歩能美大会(3月15日)へ「チャンスはあるので頑張りたい」と気持ちを切り替えた。

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