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高橋「心残りもうない」 復帰へ突き動かした“残り火”完全燃焼「これで次に進める」

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(22日、代々木第一体育館)

 来年からアイスダンスに転向する高橋大輔(33)=関大KFSC=は12位だった。

 自分を偽ることも、大きく見せることもできない。高橋大輔らしい“ラストダンス”だったのかもしれない。ジャンプはことごとく乱れ、スピンも、かつて世界一と称されたステップもキレ味を欠いた。終演後は悔しそうに息を吐き、腰に手をやりうなだれた。「情けない。かっこよく決められないのが僕らしい」。限界をこれ以上ないほど突きつけられ、自嘲気味に笑った。

 ただ、その演技に、姿には、ずっと温かい声援が送られた。得点を待つ間、鳴り響いたのはフィギュアでは異例の“大ちゃんコール”。「こんなの高橋大輔の演技じゃないって思われたと思う。それでも温かい拍手をもらって…。改めて最後なんだなって」。目頭に熱いものが滲んだ。25年に及ぶ競技人生をかけて、高橋大輔が築きあげてきたものがそこにあった。

 自分の気持ちに正直な男だ。どんな時も飾らずに、胸の中にある思いを素直に口にできる。そんな高橋の演技に、人柄に、みんながひきつけられてきた。14年ソチ五輪後の引退会見。引退会見にも関わらず、復帰の可能性を示唆していた。「現役に未練がないわけじゃない」。奥底に眠っていた残り火は4年の月日を経て、再び燃え上がり18年に現役復帰。ただ、この2年は苦しいことの方が多かった。羽生らがけん引する新時代についていけず、プライドはズタズタにされた。「今の演技は昔だったら恥ずかしくて、人前で披露できなかったかもしれない」。そんな日々が、未練を断ち切るために必要だった。この日、言った。「心残りはもうない。もう無理です」。完全燃焼だった。

 日本男子初の五輪メダルに世界王者、GPファイナル制覇。功績が色あせることはない。個人での戦いに区切りをつけ、アイスダンスという舞台に飛び込む。目標は22年北京五輪。「スッキリしました。これで次に進める」。ステージを変え、氷上の軌跡は続く。

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