羽生が羽生を超えた!SP自己最高で貫録首位 マイナーチェンジでさらなる高みへ

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(20日、代々木第一体育館)

 世界選手権(来年3月・モントリオール)代表選考会を兼ねて行われ、男子ショートプログラム(SP)で、4年ぶり出場の羽生結弦(25)=ANA=が110・72点で首位に立った。非公認ながら自身の世界最高を0・19点上回った。3連覇中の宇野昌磨(22)=トヨタ自動車=は105・71点で2位。高橋大輔(33)=関大KFSC=は65・95点で14位。女子で初制覇を狙うSP1位の紀平梨花(17)=関大KFSC=は21日のフリーに向けた公式練習で、予定している4回転サルコーが決まらなかった。代表は男女とも3人。22日に男子フリーを実施する。

 貫禄すら漂うその演技に羽生は大きくうなずいた。ジャンプ一つ一つがピアノの音色とかみ合い、流れるように決まっていく。スピンもステップも全てがSP「秋によせて」の一部として、代々木のリンクに生きていた。

 国際スケート連盟(ISU)非公認ながら自身の持つ世界最高得点110・53点(18年GPロシア杯)を上回る110・72点をマーク。「ホッとした。おおむね満足しています」と胸をなで下ろした。

 昨季からSPは2番目にトリプルアクセル、最後に4回転-3回転の連続トーループを配置していたが「GOE(出来栄え点)を稼ぎたかった」と入れ替え。より高い完成度を求めたマイナーチェンジで、自らをさらなる高みに押し上げた。

 そこにはジャンプも表現と考える羽生ならではの、強いこだわりも隠れていた。連続トーループを組み込んだ箇所はこれまでアクセルジャンプのエッジの音と重ね合わせてきた部分。「軽やかな表現」を意識し、トーの突き方をあえて軽めにして跳ぶようにアレンジを加えたという。「挑戦だった」と羽生。多くの選手にとっては、4回転を跳ぶことすら至難の業。表現への強い思いと、高い技術力を示して見せた。

 チェン(米国)との死闘を演じたGPファイナルから中1週間。心身の疲労はピークだが、SPの重要性を痛感したことも今回の構成変更を後押ししたという。今後どの構成で臨むかは未定だが、冒頭のジャンプの難度を上げることも含めて応用が利くと証明する結果ともなった。

 このSP「秋によせて」は「過去を振り返り、未来へ一歩踏み出すイメージ」で舞うプログラム。「自分として、一歩踏み出せたかな」と納得の表情でうなずいた羽生だが、22日のフリーのことは「まだ何も考えていない」と笑った。「SPを振り返りながら、とりあえずホッとしたい」。当たり前のように滑りきる王者に注がれた万雷の拍手から力をもらい、羽生はまた前へと進む。

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