「フィギュアスケート・全日本選手権」（２３日、東和薬品ラクタブドーム）

　平昌五輪代表の坂本花織（１８）＝シスメックス＝が１５２・３６点をマークしてショートプログラム（ＳＰ）に続いて２位となって逆転し、合計２２８・０１点で初優勝した。坂本は日本スケート連盟の選考基準を満たし、世界選手権（来年３月・さいたま）の代表入りを決めた。ＳＰ５位だったＧＰファイナル女王の紀平梨花（１６）＝関大ＫＦＳＣ＝は得意のトリプルアクセル（３回転半ジャンプ）を２度着氷してフリー１位となり、合計２２３・７６点で２位。ＳＰ首位で５連覇を狙った宮原知子（２０）＝関大＝はフリー４位にとどまり、２２３・３４点で３位だった。世界選手権代表は男女ともに３人。２４日に男子フリーが行われる。

　伊藤みどり以来の５連覇を狙った宮原は、終盤の連続ジャンプでミスし、単発の２回転フリップとしてしまった。わずか０・４２点差で同門の後輩、紀平に惜敗。表彰台の３番目で若い２人を祝福した後、「もう少し、いいジャンプをしたかったので悔しい」と率直な思いを口にした。

　平昌五輪を４位入賞で終え、今季は「チャレンジ」をテーマに再スタートした。後輩が高難度のジャンプに挑む中、着手したのはその精度の高さ。トーの付き方、踏みきり、顔の位置などすべてを一から変えた。精密機械を解体して組み直すような作業は恐怖心を伴ったが「大きな壁を乗り越えられるように」と自分を奮い立たせてきた。それだけに「どこかで勝ちたいという気持ちがあったかも」という悔いが残る。

　しかし、田村岳斗コーチはまな弟子の思いを「勝ち続ければ臆病になる。挑戦者のつもりでやっていきたい」と言い換えた。「まだまだ伸びると思っている。やることがたくさんある」と宮原。真の「チャレンジ」はここから始まる。