稀勢の里1年半ぶり勝ち越し 進退場所で綱の意地!“鬼の魂”パワーに

 3度、立ち合いが合わず、審判に呼び出された稀勢の里(左)と遠藤(撮影・西岡正)
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 「大相撲秋場所・10日目」(18日、両国国技館)

 左大胸筋負傷などで8場所連続休場から進退を懸ける横綱稀勢の里が平幕遠藤を速攻で寄り切り、勝ち越しを決めた。呼吸が合わず4度目立ち合いに審判部から注意も受けた“乱戦”を気迫で制圧。引退危機脱出へ大前進となる8勝目をもぎ取った。白鵬は逸ノ城を寄り切り、鶴竜も関脇御嶽海を寄り切り、2横綱が初日から10連勝でトップに並ぶ。1敗同士の大関戦は高安が豪栄道に勝ち、2横綱を1差で追走する。

 稀勢の里は土俵外に運んだ遠藤を右手で一突きし、にらみつけた。3度の立ち合い不成立。1度目は突っかけ、2、3度目は相手の手付き不十分。極限の心理戦を研ぎ澄ました集中力で制した。

 今場所最短2秒3の速攻星。強烈な右の張りから左を差した。ガッチリ組み止め、万力の寄り切り。4勝3敗と戦績はきっ抗し、前回対戦の昨年夏場所で自身初金星を配給した難敵を完封した。

 引退危機脱出へ勝ち越しの意味は絶大。支度部屋では立ち合いに関してだけ、「集中してしっかり相撲を取ろうと思いました」と答えたのみ。気持ちは一切、緩めなかった。

 今場所は“鬼の魂”を宿す。横綱土俵入りの際、初日から10日連続で着用する深紅の化粧まわしは梵字で「72」のデザイン。第72代横綱を意味する。露払い、太刀持ちが着用する「鳥」は象形文字で「稀」のつくり「希」を表している。

 この鳥の羽部分が秀逸。完全に縫い付けられず浮かせている。横綱昇進間もない頃、借りた“土俵の鬼”初代若乃花の“鬼の化粧まわし”。三つぞろいの化粧まわしは牡丹と梅が浮いており、稀勢の里が感動。再現するように要望したのだ。

 贈呈した株式会社ピカソの若林宏明社長は「今場所は『初日から使う』と連絡があった。験を担いでくれているのかな。勝ってうれしい」と勝ち運を呼んでいることを喜んだ。

 前日は大関栃ノ心を突破。進退場所、10日目で8勝到達は文句なしの合格点だ。幕内通算勝ち星も元横綱日馬富士に並ぶ歴代6位の712勝に達した。

 八角理事長(元横綱北勝海)も「やろうとしていることできるようになってきた」と高評価。トップとも2差。「全勝はいるけど優勝争いは務めだから。まだ(横綱と)対戦がある」と進退どころか終盤戦、優勝争いへもハッパをかけた。

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