関東学連理事長は断腸「日大は関東の宝のようなチーム」組織へ憤りも

 関東学生アメリカンフットボール連盟が31日、都内で臨時理事会を開き、悪質タックル問題で19年3月までの公式試合の出場資格を停止されていた日本大学について処分を解除せず、秋のリーグ戦に出場させないことを決めた。日大は7試合すべて不戦敗となり、来季は1部リーグ上位の「トップ8」から1部リーグ下位の「ビッグ8」に降格する。このことに、処分を決めた関東学連幹部も苦悶に顔をゆがめ、時に涙声になりながら思いを語った。

 柿澤優二理事長は「日本大学と言えば…関東の宝のようなチームでしたし」と思いを絞り出した。立教大出身の理事長にとって、甲子園ボウル21回優勝の名門・日大は「我々もずっとライバルとして、いつか超えてやろうと思っていた素晴らしいチーム」だった。「このチームが、秋のリーグ戦に出られないという事態は非常に…重たい事実だと思っております」と何度も声をつまらせた。

 日大への処分継続を決める理事会では、直接は問題に関係ない学生の心情を考慮し寛大な措置をとるべきとする声もあった。しかし、日大のチーム改革案などを精査する検証委員会は、組織改革への取り組みの不十分さ、選手の意識改革を進める方策が不十分なことをなどを挙げ「十分な改善がなされたとは認められない」と結論付けた。これを受け、理事会も賛成17、反対3で処分継続を決定した。

 柿澤理事長は、日大と対戦する選手を思い、「彼らの安全も担保していかないといけないのが関東連盟の使命でもあります」と強調。「リーグ戦の中、あるいは社会からもフェニックスは立ち直ったと、これまで通りのみんなの手本、見本になるチームになったと早期に認められることを願っております」とフェニックス(日大アメフット部の愛称)の復活を期待した。

 ただ、アメフット部への思いが強い分、柿澤理事長の怒りは日大の組織のありようへ向いた。「解決に向かって、フットボール部だけにその任務を押しつけてしまったような形になってしまった日本大学のガバナンスには少なからぬ憤りを感じております」とやりきれなさを募らせた。

 慶大出身の森本啓司専務理事は「日大の4年生の学生たちは試合に出ることはできない(※後述注)となりますが、それに対して、かわいそうという気持ちももちろん、ありました」と複雑な胸中を明かした。だが、「試合をする学校の学生たちも我々、連盟に所属する大切な学生たちです」とし、安全面の視点から日大への処分継続やむなし、との考えを示した。

 (※注)関東学連の規定では登録したシーズンで通算4年間プレーできる。そのため、日大の現4年生が今季の登録を解除し、留年を選択すれば、あくまで規定の上ではあるが来年出場する道は残されている。ただし、学費や進路など諸条件を考えると非常に厳しい選択肢となる。

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