錦織がウィンブルドン15勝 「一球入魂」サービスエース24本で逆転勝ち
「テニス・ウィンブルドン選手権」(5日、ロンドン)
男子シングルス2回戦で世界ランク28位の第24シード、錦織圭(28)=日清食品=が同184位のバーナード・トミック(オーストラリア)に2-6、6-3、7-6、7-5で逆転勝ちし、3年連続で3回戦に進出した。錦織は1932年と33年に4強入りした佐藤次郎を抜き、日本男子最多の大会通算15勝目。3回戦で世界18位の第15シード、ニック・キリオス(オーストラリア)と対戦する。
第3セットの第10ゲーム。15-40と追い込まれ、トミックに2セットを先取されかねない窮地だったが、錦織は冷静だった。「彼は(サーブレシーブで)かなり読むタイプ。どっちに動くかを考え、コースを意識した」。外へ逃げるスライス、体の正面、センター、ワイドと巧みに打ち分け、3本がエース。これまでは足を引っ張ることが多かったサーブに「今日は救われた」と言った。
目の覚めるような強打を繰り出したかと思えば、簡単に諦めてポイントを譲る。気性が荒く、度重なる騒動を起こしてきた“お騒がせ男”のトミックはプレーでもつかみどころがなく「やっぱり、やりにくかった」という。過去2勝2敗だった難敵に苦しめられたが、24本のサービスエースで逆転勝ちをたぐり寄せた。
新たに試していることがある。以前はポケットに入れてプレーしていた第2サーブ用のボールを、今大会は受け取らなくなった。「第1サーブを入れたい、一球一球集中したいという思いが込められている」と打ち明け、照れくさそうにこう続けた。
「一球入魂、ですね」
3年連続で3回戦に進出し、日本男子最多の大会通算15勝目を挙げた。昨年敗退した3回戦の突破、その先に見据える初の8強入りに向け、新しい自分を見せていく。