大相撲 土俵の「女人禁制」問題は継続審議に

 日本相撲協会は28日、東京・両国国技館で「土俵と女性について」を議案とし緊急理事会を開いた。約1時間の会議で出た意見を集約し、協会の八角理事長(元横綱北勝海)が談話を発表した。

 春巡業で議論となった大相撲の土俵の「女人禁制」に関し、「私どもに時間を与えていただきたくお願い申し上げます」と、今後も継続して協議する問題とした。

 協会は04年から3年間、東海大体育学部の生沼芳弘教授らが観客に意識調査し、大相撲の土俵の女人禁制に反対しないと答えた人はどの年も6割以上だった。10年超がたった今、再度、アンケート調査などを行い、外部の意見も問い入れた上で判断する意向だ。

 理事長談話では春巡業で巻き起こった騒動に対し、説明した。

 4日に京都府舞鶴市で行われた春巡業で、市長があいさつ中に倒れ、救命を施した女性に対し若手行司が土俵から下りるよう指示する場内放送をし、批判を呼んだ。改めて謝罪するとともに緊急時、人命救助が最優先されることは当然のことと明言。協会幹部の指導不足であったことを反省した。

 6日に兵庫県宝塚市であった興行では土俵上でのあいさつを拒まれた女性市長が「男女差別」と訴えた。土俵上は「女人禁制」とする大相撲の伝統の見直しを求めて相撲協会、スポーツ庁に要望書を出していた。

 この問題は森山真弓官房長官、太田房江大阪府知事が土俵に上がることを希望した過去にも議論されており、歴代理事長は主に3つの理由を挙げて断りを入れてきた。

 「第1に相撲はもともと神事を起源としていること、第2に大相撲の伝統文化を守りたい、第3に大相撲の土俵は力士らにとっては男が上がる神聖な戦いの場、鍛錬の場であること」。女性を不浄と見ていた神道の考え方が根拠とすることは「誤解」とし否定した。

 さらに今年の春巡業から、力士と子供が稽古を行う「ちびっこ相撲」で女児の参加が認められなくなった理由にはケガ防止を挙げた。関取衆から「女子の顔に傷を負わせることを心配する声が挙がっていた」という。女人禁制とは全くの別問題であることを強調した。

 しかしながら、春巡業ではちびっこ相撲でケガをした男児の両親から訴えがあった。この事実を重く見て「ちびっこ相撲はいったん休止」と、白紙に戻す措置が取られることになった。

 次の夏巡業までは3カ月あり、その間に根本からちびっこ相撲のやり方を見直す。ケガをしない安全な方法が徹底してからの再開を目指し、女児の参加も再検討していく。

 芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「3、4人の子供が一緒に力士に当たれば子供同士のケガも起きる。1人ずつ土俵に上げるのがいいのか見直さないといけない」と話した。

 理事長談話の最後は「このたびは暴力問題に続き、土俵の女人禁制を巡る問題を起こしまして誠に申し訳ありません」と謝罪。続けて「大相撲を支えてくださるファンの方々に男女の区別はありません。幸いにして現在、大相撲の興行は大勢のファンの方々からのご支持を頂いております。その大きな要因となっている女性ファンの皆様には日頃から大変感謝いたしております。今後とも女性の方々に一層愛される大相撲を目指してまいります」と締めくくられた。

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