小平 1000mで世界新 スピードスケート五輪個人種目で日本女子初

 「スピードスケート・W杯」(10日、ソルトレークシティー)

 女子1000メートルで小平奈緒(31)=相沢病院=が1分12秒09の世界新をマークして優勝した。ブリタニー・ボウ(米国)の15年の記録を0秒09更新した。日本勢が五輪で実施される個人種目で世界記録を出すのは女子では初。男子を含めると05年に500メートルでマークした加藤条治(博慈会)以来となる。小平は1000メートルでW杯3勝目、500メートルと合わせて通算19勝目。自身の日本記録を0秒42塗り替えた。スピードスケート日本女子初の金メダルを狙う平昌五輪へ、期待がさらに膨らんだ。

 苦しんできたカーブに「不安はなかった」と思い切り突っ込んだ。小平は序盤から女子1000メートルの自己最速ラップで飛ばしながら、高い技術を要するカーブも見事に足を運んだ。「自分の滑りに集中した」と神経を研ぎ澄ませ大願を成就させた。

 内側のレーンから出て最初の二つのカーブは内径の小さい内側を回る。厚さ約1ミリの刃に体を預け、時速50キロ超で急旋回しながら加速する序盤のポイント。前週、転倒した鬼門でもあったが「余裕を持って入れた」と駆け抜けた。

 ストレートの伸びが最大の武器だ。一方でカーブは、特にスピードが出る高地のリンクで苦労してきた。5季前、2週連続で転倒したときには自信を失い、結城コーチに「リンクに行きたくない。明日の試合、出なきゃいけませんか」とまで漏らした。

 前日、得意の500メートルはカーブでわずかに失速したが「うまく使える左足に頼りすぎていた。左右両足使うイメージ」(結城コーチ)に微修正。疲労で腰高になった最後を除けば、一歩一歩、力強く氷を捉えた。

 抜群のばねがあるわけではない。「最速」への思いから、過酷な筋力トレーニングでパワーとスピードを磨いてきた。氷上でも短い距離の練習が主となっているものの、中距離を滑る技術もさびついていない。

 500メートルで世界記録に届かなかったことも「自分に必要な、悔しい思いを得ることができた。プラスになると思った」と言うほど、たくましくなった。転んでは立ち上がり、速くなってきた31歳。スケート人生が凝縮された世界新記録だった。

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