白井、別次元の強さで優勝!大技「シライ」3発決め日本初の同一種目V3
「体操・世界選手権」(7日、モントリオール)
種目別決勝の前半5種目が行われ、体操ニッポン男子のホープ白井健三(21)=日体大=が男子床運動で15・633点をマークし、2015年大会に続く3度目の王者に輝いた。同一種目別で3度の世界一は日本選手初の快挙。2位のイスラエル選手に1・100点の大差をつけ、金メダル最有力で4位に終わった昨夏のリオデジャネイロ五輪の雪辱を果たし、今大会で個人総合3位に続いて2個目のメダルとなった。
「シライ」の名前が付く技が三つも入った難しさと美しさを両立する別次元の強さを見せ、白井は当然のように3度目の世界一に輝いた。「“他人と比べない床”を目指してやってきた。自分に打ち勝てたと思う」。金が当たり前の状況にも打ち勝ち「ほっとした」と安ど感がにじんだ。
初出場で3位となった個人総合に重点を置いたため、予選と決勝で計12種目もこなし、体と気持ちの状態が万端ではなかったという。「今までより気持ちも乗らなかったし、体が疲れている感じもあったけど、それでもできてこそ日本の代表だと思った」
リオ五輪後に組み込んだH難度の「シライ3(伸身リ・ジョンソン)」を冒頭で豪快に決めて観客の驚嘆の声を誘うと、次にG難度の「リ・ジョンソン」、残る二つの「シライ」もまとめた。7・2点と高いDスコア(演技価値点)で他を圧倒し、出来栄えを示すEスコアも全体2位。今回最も美しい演技をする選手として贈られた「エレガンス賞」にふさわしい演技だった。
卓越したひねりの技術と抜群の空中感覚で、高難度の構成を軽々と成功したように映るが「前の慣れていた構成に比べるとばたつきはある」。最初に大技が二つもあり、余裕がないという。ひねりの力加減を十分につかめないままで三つ目以降の跳躍系に臨んでおり、試行錯誤を続けて完成度を高めてきた。
国内外で刺激をもらえるライバルがいない状況に「ある意味、慣れています。他の人を気にしなくていいのはすごく楽。周りも諦めてくれているようなリアクションだった」と笑う。「(内村)航平さんも個人総合でこんな感じだったのかな」。予選で負傷棄権するまで6連覇してきた先輩の心境が分かる立場になってきた。