稀勢の里休場か 土俵から転落し左肩強打 大暗転初黒星…綱初Vの夢が…

 「大相撲春場所・13日目」(24日、エディオンアリーナ大阪)

 新横綱稀勢の里が横綱日馬富士に寄り倒され、土俵に転落した際に左肩を強打し、救急車で病院に運び込まれた。苦悶(くもん)の表情を浮かべ、痛みに何度も絶叫。初日からの連勝が12で止まる横綱初黒星で、まさかの悪夢。14日目からの休場が濃厚となり、新横綱優勝の夢は極めて難しい状況となった。

 土俵下に吹っ飛ばされた稀勢の里が立ち上がれない。左肩を押さえ苦悶の表情を浮かべた。

 支度部屋に歩いて戻ると「あー」、「がー」、「はー」と痛みのあまり絶叫。右手で左肘を支え額には脂汗。医務室から駆け付けた医師には「痛みがあり動かせない。動かすのが怖い」と訴えた。

 風呂から上がり、包帯で患部を固定され冷却。救急車を待つ間、立っているのも苦しいのか、カメラマンから脚立を借り、腰を下ろした。報道陣の問いかけには無言で大阪市内の病院に直行した。

 支度部屋で診た医師によれば患部は左前胸筋。「肩が外れている感じはない。骨が折れている感じもない」と説明した。師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)は病院で「(休場は)まだ様子を見て、あした」と話した。

 14日目の出場の判断は当日朝、患部の状態次第。ただ稀勢の里は人一倍痛みに強く、これまで大きなケガもなく、15年の土俵人生で1度しか休場がない。その男のこの痛がり方は軽傷ではないのは確か。休場は濃厚だ。

 初日から12連勝とまさに稀勢の里のための春場所になっていた。この日の朝稽古では同じ横綱として初めて迎える日馬富士戦へ「変わらない。自分との闘い」と泰然自若の心境を語っていた。

 61度目の対戦。鋭く踏み込まれてなすすべなく寄り倒された。喫した横綱初黒星はまさに悪夢。数字上は1敗で大関照ノ富士(伊勢ケ浜)と並び首位タイながら、残り2日に出場しないことには、2場所連続優勝はない。

 先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)を追った新横綱全勝優勝は消えた。1949年以降に誕生した32人の新横綱で優勝は61年11月の大鵬、83年9月の隆の里、95年1月の貴乃花親方の3人のみ。4人目の新横綱Vは奇跡でも起こらない限り難しい。八角理事長(元横綱北勝海)は「あれだけの観客が見る中であれだけ痛がるんだから…。軽傷であってほしい」と、祈るように話した。

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