知ってる日本語は「もう一回」 「リオdeいいね!」

 決勝進出を決め、引き揚げる早川憲幸コーチとアルベアル(共同)
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 前半戦の柔道で競技発祥国の日本は男女計14階級のうち、12階級でメダル獲得と大活躍しました。その一方で、メダルを取った国・地域の数は26と史上最多。女子ではアルゼンチンにコソボと、畳に縁の薄そうな国から金メダリストが誕生しました。五輪競技となって半世紀以上がたち、裾野の広がりがうかがえます。

 そんな状況を示す選手の一人が女子70キロ級で銀メダルに輝いたコロンビアのジュリ・アルベアル選手です。既にロンドン五輪で銅メダルを取り、世界選手権では3度優勝。2009年から同国で指導する埼玉県出身の早川憲幸さんが、手足が長くて体格に恵まれたアルベアル選手を見込んで鍛えてきました。

 コロンビアの柔道代表は女子2人だけ。「国技は圧倒的にサッカー」(早川さん)という国で、柔道が目立つことは滅多にありません。強化費も乏しく、日本企業のミキハウスから支援を受けて遠征や日本での合宿などを行ってきました。それだけに、金メダルで目立ってアピールしたい、という意欲は人一倍。決勝で日本の田知本遥選手(ALSOK)に一本負けすると、早川さんは裏の通路で壁にもたれ、声を上げて悔し涙を流しました。

 早川さんは「僕はめちゃくちゃ練習させる。自分が選手だったらついていかないぐらい」と言います。秘蔵っ子は「それについてきてくれた」というまじめな努力家。早川さんとは対照的に、銀メダルにも涙は見せず「もちろん勝ちたかった。でも2012年の銅メダルから前進した。表彰台に立てたことは素晴らしい」と、集まった母国の報道陣に丁寧に対応していました。

 日本で何度も合宿しているアルベアル選手ですが、日本語はそれほど話せません。こちらもスペイン語なんてまるで駄目。無理に日本語で呼び止めると、知っている単語を並べてくれました。

 「ありがとう」「こんにちは」「すみません」

 「おなかすいた」「ご飯食べる」「おなかいっぱい」(照れ笑い)

 「お願いします」「もう一回」

 最後の2言に積み重ねてきた鍛錬の日々がしのばれ、胸に迫ります。思わず

「お疲れさまでした」と言ってしまいました。(リオデジャネイロ共同=山田亮

平)

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