五郎丸 胸張れ3勝!悔し涙は19年桜咲く
「ラグビーW杯・1次リーグB組、日本28-18米国」(11日、グロスター)
日本は最終戦で米国に28-18で勝ち、初の1大会3勝目を挙げた。3勝して1次リーグで敗退するチームはW杯史上初めて。日本は前半にWTB藤田慶和(22)=早大=のトライなどで17-8で折り返し、後半はFB五郎丸歩(29)=ヤマハ発動機=の2PGなどで得点を重ねた。目標の8強入りには届かなかったが、歴史的な快進撃を見せた今大会を白星で締めくくった。
全力でやり切った達成感もなくはない。だが、それ以上に、それでも準々決勝へ進めなかった虚無感に縛られた。これまでの“ラグビー小国”が進化を見せつけ、今大会最後の試合で快勝。1次リーグ3勝でも去らなければならない現実。五郎丸の目からとめどなく涙があふれ出た。
「マン・オブ・ザ・マッチ(最優秀選手)」に選ばれた米国戦後、何度も言葉に詰まった。試合前から1次リーグ敗退は決まっていた。勝っても帰国-。頭の奥底では分かっていても体がそれを受け入れられない。その右足でチームを支えた背番号15は「悔しさの方が大きい」とおえつ交じりに漏らした。
キックはこの日も健在だった。25-18に詰め寄られた後半37分、約40メートルのPG。いつも通りのルーティンから、勝利を決定づけるキックを冷静に決めた。1次リーグでの13PGは大会ランキングで1位、58得点は2位。
「みんながチャンスをくれ、得点できたことがうれしい。チームのみんながヒーロー」と感謝した。
ジョーンズ・ヘッドコーチが就任した3年前の自分の写真を見ると「上半身はガリガリだった」と苦笑い。今はチームの副主将で、バックスリーダーを務めるまでに成長した。
代表デビューから10年でやっと到達した初のW杯で輝き、自身の持つ日本代表の通算最多得点記録も700点を超えた。「(心は)曇り空みたいな感じで達成感はない。(4年後については)ゆっくり考えたい」。最後まで笑顔は少なかった。
ただ、本人に悔いは残っても、今大会の日本の躍進、そして五郎丸の奮闘は世界中のファンの記憶に残る。4年後の日本開催。誰もがもう一度、その勇姿を見たいと願っている。