東京五輪エンブレムついに白紙撤回

 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は1日、ベルギー・リエージュ劇場のロゴとの類似が指摘され、批判が高まっていた佐野研二郎氏(43)デザインの大会エンブレムの撤回を決定した。デザインは7月24日の発表直後から“盗用疑惑”が浮上。先月28日に組織委が公表した原案にも類似したものが見つかるなどし、使用を断念した。エンブレムの撤回は前代未聞で、同じく白紙となった新国立競技場の計画に続いて、汚点を残した。

 エンブレム発表から39日、“潔白証明”のための原案の公表からわずか4日。一転して“佐野エンブレム”の撤回が決まった。この日、佐野氏、審査委員代表を務めた永井一正氏と会談した組織委員会の武藤敏郎事務総長は「3者一致で取り下げ、新たなエンブレム開発のスタートを切ることで事態解決する判断に至りました。国民に申し訳ない」と謝罪した。

 会談で佐野氏は最後まで盗用は否定しながらも、「昼夜問わず、誹謗中傷が続いている。五輪に関わることは夢だったが、今や国民に受け入れられない。五輪のイメージに悪影響が及んでしまうことを考えると、原作者として取り下げたい」と、自ら撤回を切り出したという。

 決定打となったのは、先月28日に組織委が行った会見で、公表された佐野氏の原案と、エンブレムの展開例として活用した風景デザインにも“パクリ疑惑”が浮上したことだ。原案は13年に東京・銀座で開かれたタイポグラフィの巨匠「ヤン・チヒェルト」の展覧会で使用されたロゴに酷似。さらに活用例のイメージ画像で使用した羽田空港や渋谷の背景は別の個人のサイトで公開された写真の流用が指摘されていた。

 佐野氏はチヒェルト氏のロゴについては「展覧会には行った、バナーは記憶にない。(エンブレムは)独自に作り上げた」と、盗用を否定。一方で活用例の画像については「応募の際の内部資料のために作った。公になる時に権利者の了解が必要になるが、それを怠った」と釈明しながらも、無断転用だったことを認めた。

 すでに広告などに使用しているスポンサーもあり、影響は計り知れない。新エンブレムは再び公募により決定する見通しだが、イメージ払拭は容易ではない。

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