ウルフ感無量「まんざら、悪くないね」

 大相撲で史上3位の優勝31回を誇り、6月1日に60歳の誕生日を迎える元横綱千代の富士の九重親方が31日、東京・両国国技館で歴代横綱10人目の還暦の土俵入りを披露した。太刀持ちは白鵬、露払いが日馬富士。現役の両横綱を従えて力強い雲龍型を見せ、後援者ら約1200人が集まった館内から「千代の富士、日本一!」という大きな声援が飛んだ。

 荘厳かつ雄々しいセレモニーだ。現役の両横綱を従え、呼び出し・重夫、三役格行司・木村恵之助の先導で、赤い綱を締めた九重親方が国技館のアリーナに姿を現すと、大きなどよめきが起こった。

 幕内優勝31回、53連勝、通算1045勝と数々の偉大な記録を打ち立て、1991年5月場所に「体力の限界」と引退会見で声を振り絞って土俵に別れを告げた。翌年2月に引退相撲を行ってから、24年ぶりに披露した雲龍型の土俵入り。この日のために新調された赤富士の化粧まわし、太刀持ちは青富士、露払いは白富士の三つぞろい。さらに綱に垂らす紙垂(しで)も通常の白ではなく、赤く染めたもの。太刀持ちが使用する袱紗(ふくさ)も赤という特別バージョンだった。

 トレーニングジムに通って筋トレを行い、体重116キロの上半身の張りは目を見張るほど。高く上がった四股の後、現役時代をほうふつとさせる鋭い眼光を光らせながら、迫力満点のせり上がりに大きな拍手が起こった。

 1分30秒の土俵入りを終えて、「横綱を経験している人だけ、しかも健康だからできる。元気にやってきてよかった。感無量です」と満足そうな表情。館内からさかんに“日本一”の掛け声が飛び交った。「現役時代を思い出したよ。まんざら、悪くないね」と最高のウルフ・スマイルがはじけた。

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