侍・大谷がバ、バント!?“日本ラス闘”魂の二刀流で164キロ 4強導いた“全球”雄たけび71球

 3回、セーフティーバントをきめる大谷(撮影・金田祐二)
 吠えながら力投する大谷
 準決勝進出を決めナインを迎える大谷(中央)ら侍ジャパンナイン
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 「カーネクスト 2023 WBC準々決勝ラウンド 東京プール、日本代表9-3イタリア代表」(16日、東京ドーム)

 野球日本代表「侍ジャパン」がイタリアに9-3で勝ち、5大会連続の4強入りを決めた。「3番・投手兼指名打者」の二刀流で先発した大谷翔平投手(28)が4回2/3を2失点で勝利投手になり、バットでも意表を突くセーフティーバントを決めて先制点につなげた。準決勝から米国に舞台を移し、20日午後7時(日本時間21日午前8時)からマイアミでメキシコ(C組1位)とプエルトリコ(D組2位)の勝者と戦う。

 笑顔が戻り、歓喜にわく中心に大谷がいた。負けたら終わりの一発勝負。腹はくくった。「当然プレッシャーはかかる。(残る2試合も)全員で頑張りたい」。信頼する仲間と目指す頂点への、通過点だ。まずは米国行きの切符をつかみ取った。

 突破口を切り拓いた。我慢比べが続いた三回。1死一塁から、「3番・投手」の大谷が奇襲をかけた。その初球だ。ヒッティングの構えから、すばやくバットを寝かせる。意表を突いたセーフティーバントを三塁前に決め、これが相手投手の悪送球を呼び込んだ。一気に一、三塁と好機拡大。4番に入った吉田の遊ゴロの間に先制点をもぎ取った。

 日本で魅せる“最後”の二刀流だ。「かなり厳しい試合になる」。表情からは笑みが消えた。まさに、気迫全開。異様なほどの静けさに包まれた東京ドームで、投げるたびに雄たけびが響いた。

 まずは立ち上がりを無失点で抑えると、二回だ。先頭のパスクアンティノへの6球目が、甲高い音を奏でながらミットへと吸い込まれていく。この日の最速164キロ表示に、超満員のスタンドは地鳴りのようなどよめきが起こった。この最速ボールで空振り三振を奪うと、味方の好守にも支えられながら二、三回を三者凡退。小さく拳を握った。

 四回には無死一塁から、ギアを入れ直した日本のエース。Do・フレッチャーを三振に斬って取ると、続く4番と対峙(たいじ)。カウント2-2からは、2度首を振って選んだスプリットで空振り三振に仕留めた。五回に2失点を喫したものの、最後まで役割を全う。気迫のバトンをつなぎ、打者として力を尽くした。

 純粋に野球を楽しむ心に触れた。14日の全体練習の際には、帰国当日にもかかわらずチェコ代表が球場を訪問。全員の名前が書かれたユニホームをプレゼントされた。「顔つきを見ても野球が好きなんだなとわかる。スポーツ選手として、試合を作っていくところにリスペクトを感じました」と話し、その心に笑顔で感謝した。

 気迫が違った。1次リーグ時に多かった笑顔が消えた負けられない戦い。魂で投じた71球に、意表を突く攻撃から始まった先制劇も「勝利」への執念だ。二刀流で導いた米国行き-。大谷がようやく笑えた。

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