【93】東大生に顕著な野球経験率の高さ 野球と脳の活性化

 「日本高野連理事・田名部和裕 高校野球半世『記』」

 長く国際野球連盟の第一副会長を務められた田和一浩さん(82歳)からお誘いをいただき、一夕、東京大学野球部の皆さんとご一緒した。

 田和さんは東大在学時代野球部マネジャーで、三井物産で海外勤務をされた。バイリンガルで僕も英語の翻訳でお世話になる。

 同席した監督の浜田一志さん(53)は全日本大学連盟監督会議で普及振興委員会の座長をされている。

 席上最初に話題にしたのは少子化だった。浜田監督から実に興味深い話を聞いた。学童期に手指を積極的に使うと脳の活性化につながるという。

 東大野球部が、今年6月中旬に学内の運動部の選手、学生コーチ、マネジャーら340人(男子241人、女子99人)に、小学生時代の習い事をアンケートした。(別表)

 すると水泳が1位で、ピアノが2位、そして野球・ソフトが3位だった。別の一般東大生への調査でも水泳が1位でピアノが2位と報告されている。

 東大生の家庭が、経済的な余裕でピアノ経験率が高いという側面があるかもしれない。手指を使う運動は脳科学の観点からも実証されているという。

 そこで浜田監督は野球が3位に食い込んだことで、少年野球教室の開催で「小さいときに野球をさせると頭がよくなる」とこのデータを引用して“野球のすすめ”を保護者に説いているという。

 野球は投げる、打ついずれも手の微妙な動きが大切なことは言うまでもない。

 さらに浜田監督は、次のプレーを予測する洞察力も基礎能力の発達につながるという。

 日本の野球は現在世界ランキング1位だ。浜田監督が別に調べた世界ランキングでGDP(国民総生産)や学力調査でも野球が上位を占め、相関があるという。歓談の席に現在の東大野球部の第百代主将の宇佐美君と学生コーチの宮村君が同席した。彼らの進路を聞くといずれも一般企業に就職を目指しているという。

 話が弾んで、浜田監督は現在の野球部員の中から官僚を目指す学生を育て、野球の素晴らしさが行政でも活かされるよう、文科省に送り込みたいと話された。壮大な構想だ。

 そういえば今年亡くなられた元文部大臣の与謝野馨さんは東大時代野球部のマネジャーをされていた。

 次代を担う若者の育成が着々と進んでいる。

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