徳島・平間、思い出は北米遠征…進学より価値があった3年間
【徳島・平間隼人内野手】文=高田博史
3年目となる2017シーズンは、平間隼人にとって苦しいシーズンだった。
瀬口拓也ら新入団選手の台頭により、遊撃手のポジションを奪われた。その結果、先発出場の機会が激減している。守備なら俺のほうが上だ、という自信がある。なのに使ってもらえない。「打のチームにしたい」という首脳陣の方針もあった。
「しんどかったですね。いままで、あんまり経験せんかったことだったので」
フラストレーションがたまるなかで、捨て鉢になった。だが、ふてくされていても、何の意味もないことに気付く。「いつか出られる」と前向きに考えながら、練習を続けた。初の先発出場は4月30日、9番・三塁手として出場した対ソフトバンク4回戦(筑後)である。後期に入ってからは、遊撃手のポジションを奪い返している。
「チャンスで打てることが多くなりましたね。もう1年やってたらどうなったかな、と思いますけど」
覚悟を決めて上を目指すうえで、気持ちに変化が出始めていた。もう1年プレーする可能性もあったが、シーズン終了後に次の道へ進むことを選んでいる。
地元出身選手だけに、多くの人たちが応援してくれていた。支援者へのあいさつ回りでは「お疲れさん」の言葉をたくさん掛けてもらったという。
「『ええもんたくさん見せてもろた。ありがとう』って言ってもらって。こっちが『ありがとう』やのに」
思い出に残るのは北米遠征(16年)だ。日本とはまた違う明るい雰囲気のなかで、伸び伸びとプレーできた。打率・328という高い数字を残している。
「遠征メンバーに選ばれるような成績でもなかったのに、坂口さん(裕昭事務局長)に選んでもらった。(徳島に)入団できたのも坂口さんのおかげですし、頭が上がらない。それだけは書いておいて下さい」
すでに県内企業に就職し、電気工事士として新たな人生を歩み始めている。悔いが残っていないわけではない。しかし、アイランドリーガーとして挑戦した3年間は、進学するよりも価値のある時間だった。