香川・秀伍 外野手から投手に!自分の可能性に懸ける
【香川・秀伍投手】文=高田博史
秀伍を取材するために、香川の練習場を訪れた。
目の前を通り過ぎた長身の選手が、帽子を脱ぐ。高校球児よりも短く刈り込んだ丸刈りに、最初それが秀伍だと気付かなかった。
「フューチャーズ戦で不甲斐(ふがい)なかったので、気合入れました」
初めて選抜チームの一員として臨んだ首都圏遠征(6月20~22日)で、フューチャーズ(イースタン・リーグ混成)を相手に2度、登板の機会を与えられている。
だが、1度目は1回を投げ3失点(自責0)。2度目は巨人育成の松澤裕介(元香川)に右翼へソロ本塁打を浴びるなど、満足のいく投球ができなかった。
「ちょっとでも高く、甘く入ると打って来る。低目のコントロールが大事だなというのは感じましたね。こりゃあ打ち取れないなあというよりは、今後の課題も出て、やる気になったというか。いいところも悪いところも出たなあって感じですね」
試合後、強気にそう語っていたが、本音は頭を丸めるほど悔しかったということだろう。
大学、社会人時代は外野手である。社会人3年目、代打としての出場しかなく、打者としての実力に限界を感じていた。会社からは引退を勧められたが“やり切った”という感じがない。
「人生1回しかない、というか。挑戦しないことには何も始まらないと思うので。ずっと考えたけど、ここで野球辞めたら悔いが残るなと思って。就職は就職活動すればいい。でも、野球は辞めたら、もうないじゃないですか。チャンスが」
小学1年生の頃から持ち続ける「プロ野球選手になりたい!」という夢は、まだ捨てられない。会社に残る選択肢を捨て、アイランドリーグに飛び込む。高校以来となる、投手としての可能性にすべてを懸けた。
あれから5カ月、防御率リーグ8位と、非凡な才能を見せている。
「僕が投げた試合でチームが勝てば、勝手に注目されると思う。ここで勝てなかったら、上で勝てるわけない」
後期、香川の勝利と共に、NPBの舞台へ駆け上がる。