徳島 ハ・ジェフン チームに不可欠な“二刀流”の存在
【徳島・ハ・ジェフン投手】文=高田博史
最初の登板は、開幕戦の対愛媛戦(2日、JAバンク徳島)九回表だった。八回までセンターを守っていたハ・ジェフンが、いきなりマウンドに登る。愛媛の追撃を振り切り、初セーブを記録した。
2度目の登板は対高知前期1回戦(5日、高知市営)9番・山下をストレートで、1番・マニーをスライダーで空振り三振にとっている。
対愛媛前期2回戦(14日、JAバンク徳島)で3セーブ目を挙げた。3番・センターとクローザーを務める“二刀流”は、徳島の戦力に欠かせない存在だ。
投手として登録されることになった3月、すでに徳島・養父鐵監督(元ダイエーほか)は、クローザーとして起用することを明言していた。ジェフンが言う。
「僕は何でも良かったんだ。『投げて』と言われれば、投げるし。ピッチャーとして投げるときはストレスがない。自分の一番のポジションじゃないから。当然、チームが勝つために大事なポジションだとは思ってるけど。自分の成績としては気にしていないから」
昨年、打率・364、6本塁打の成績を残し、前期終了と同時に東京ヤクルトへ移籍している。
「いろいろ勉強したよ!杉村(繁)コーチが日本の野球のことをすごく教えてくれて。外国人だけど、僕だけすごく特打させてもらったり。すごく感謝してる」
短い間ではあったが、変化球の打ち方、盗塁の技術、状況によるポジショニングなど、新たなノウハウを学んだ。それを糧に、さらにいい成績が残せることを自分自身に期待する。
しかし「何本打ちたい」などという目標は立てない。
「成績は大事だけれど、それを気にし過ぎたら、多分プレーできないと思う。マインドコントロールができなくなるから」
先のことは考えず、目の前のゲーム、目の前の1球に集中して打席に立つ。
今シーズン、どんなプレーをしたいかと尋ねた。
「毎試合、同じ。このゲーム、このゲームと思ってプレーしてるから」
その積み重ねが、未来を作る。