【愛媛・四ツ谷良輔内野手】文＝高田博史

　オープン戦が終われば、後援会との会食の予定がある。練習がオフの日でも、ユニホーム姿でテレビの生番組に出演し、開幕戦の告知を行った。それも愛媛主将、四ツ谷良輔の仕事だ。

　自分のことだけに集中していいわけではなく、球団を代表して前に出なければいけない立場にいる。

　１８歳で入団し、今年で６年目となる。入団当時、とにかく先輩の態度、振る舞いを見つめ続けていた。

　「いまは逆に見られてる。僕の態度次第で後輩も変わって来るじゃないですか。なので、オープン戦でも僕が元気とか声とか出してなかったら、後輩もそうなってしまうと思う。そこは気にしていますね」

　思い出されるのは一昨年の主将、河原宏誓（現・巨人スタッフ）の姿だ。言うときは言うが、どちらかと言えば、言葉でよりもプレーで引っ張るタイプだった。しっかりやることはやって、自ら率先して声を出していた。彼の姿がいいお手本になっている。

　河原純一監督（元巨人ほか）率いる新体制は、ＮＰＢへの選手輩出のための育成を最大の目標にする。この２年間、独立リーグ日本一（１５年）リーグ連覇を達成しても、ドラフト指名がなかった。ＮＰＢへ選手を輩出した球団のほうが、最終的に“成功”となる。そんなむなしさを感じている。

　自らがＮＰＢへの扉を破るための武器は「守備」だ。河原監督に「独立リーグで一番じゃない。ドラフトを意識するなら高校生、大学生、社会人、全部を含めて考えないとダメだ」と言われた。今年のドラフト候補のなかで一番を目指す。

　もうひとつ、同い年であり、いまもよく話すという巨人育成・増田大輝（元徳島）との会話で気付いた。

　「増田が指名された年、あんまり打ってないじゃないですか（打率・２０９）。でも、得点が１位だったんですよ（４１得点）。そこもあるのかなあと思って。得点率を上げる。自分が出たらかえって来られる。そこは必要だと思いますね」

　まずは１年間、ケガなく。「ＮＰＢを目指すのではなく、ＮＰＢに入って活躍することを目指す」。そんな決意を胸に、開幕のときを待つ。