香川・中本 キング獲得も来季は背水
【香川・中本翔太内野手】
本塁打15本を放った中本翔太が今季の本塁打王である。高校、大学、社会人を通じてならした評判通りの長打力を1年目から堂々と発揮してみせた。だが、心から納得のいくタイトル獲得ではない。
「できすぎた15本なのか、15本止まりだったのかっていう部分で、自分の反省として『止まっちゃったな』という15本だったので」
雁の巣球場のバックスクリーンを越える特大本塁打を放つなど、満足のいく打席は確かにあった。しかし、結果としてそれが続かない。「まだプロのレベルに達していない」と感じることが多々あった。
妻・早季さんと長男・陽太(ひなた)君を宮崎に残している。
「正直、今年で辞めないかんなと思いながらやっていたので。それも数字が落ちた原因の1つだったと思います」
打席での対応力に欠けている。余裕がないから相手の決め球を振らされてしまう。
選抜メンバーの一員として臨んだ10月の『みやざきフェニックス・リーグ』で、NPBの打者を注視しながら自身が改善すべきポイントを見つけ出していた。
“光”は確かに見えた。もう1年あればなんとかなる。だが、家族の犠牲を考えれば自分1人で決断することなどできない。妻には「そろそろ区切りをつけてほしい」と言われている。思い切って「まだチャンスがあると思うし、やれる自信はある」と胸の内を打ち明けた。すると妻は快く「いいよ」と言ってくれた。
来年ダメなら最後のシーズンになるだろう。覚悟をもって臨む1年になる。
「ホントに腹括って。“生き様”じゃないですけど、家族や周りの人に感じてもらう。それだけは絶対に」
いま、秋季練習で走り込んでいる。中本翔太の15年はもう、すでに始まっている。期待は裏切らない。