7年目の野原、不撓不屈の50勝で完全燃焼

 【第2の人生へプレーボール~高知・野原慎二郎投手】

 12年、野原慎二郎は節目となる通算50勝まであと1勝としながらシーズンを終えた。その年のオフ、7年目に挑むかどうかの決断に向け、50勝を達成することはさほど重要な理由とはならなかった。

 「『どういう気持ちで野球をやるのか』しかなかったので。いままで通り、プロ(NPB)を目指してできる精神力が気持ちのなかにあるのか。決めるところはそこでした」

 挑んだ13年、対徳島前期7回戦(6月1日、四万十)で50勝を達成する。初登板から数えて159試合目のマウンドだった。

 人に勇気や希望や感動を与えられるプロ野球選手になりたい。167センチと小柄だが「体が小さい」と言われるたびに逆に燃えた。高校時代、母・宏子に教えてもらった『不撓不屈』の四文字をグラブに刻み込んでいた。

 「この気持ちだけは、何年経っても忘れんとこうと思ってやってましたね」

 29歳になってもまだまだやれるんだ、というところを見せたかった。「人に勇気を」とマウンドに登りながら、いつしか勇気をもらっているのは自分であることに気付く。

 失敗したとき、先輩やファンからかけてもらった「頑張れ!」の声があった。父・勇次は「野球をやれるうちに思いっ切りやれ!」と背中を押してくれた。3年前に結婚した妻・みゆきも陰からしっかり支えてくれた。自分の力だけでは到底7年間も現役を続けられていない。たくさんの人たちとの出会いのなかで野球を続けさせてもらっていた。

 「7年間もようできたなと思いますし、いろんな人の支えでできたことに感謝してます。それも誇りになりましたね。すんなり辞められたので」

 『不撓不屈』の精神のまま突っ走った。小さな大投手は数々の思い出を胸に、マウンドを降りた。

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